新潟県十日町市の越後妻有里山現代美術館 MonETで、「農業」を自身のアイデンティティとしながら制作を続けてきた美術家・宮坂了作の個展、越後妻有 MonET 連続企画展Vol.10「宮坂了作 ART 75歳」が開催されている。会期は6月14日まで。ゲストキュレーターは美術批評家の椹木野衣。

宮坂了作は1950年長野県諏訪市生まれ。74年、カリフォルニア芸術大学を卒業。帰国後は郷里で農業に従事する傍ら不動産業を営みながら、農業委員や伝統文化の継承など地域の活動に取り組みつつ、現在に至るまで創作活動を行ってきた。本展はこうした宮坂の創作を振り返る回顧展であると同時に、新作とその創作の原点を紹介するものとなっている。
カプローの言葉「What is your starting point?」への回答
宮坂のアーティストとしてのキャリアは、1971年、高松次郎が主催する塾の第1期生として美術を学んだところから始まる。72年には現代美術の追求のため渡米し、カリフォルニア芸術大学に入学。ここで宮坂は「ハプニング」の創始者であるアーティスト、アラン・カプローの教え子となり、アーティストとして大きな影響を受けることになる。

カプロ―は宮坂に「What is your starting point?」という言葉を投げかけたという。宮坂は当時のことを次のように語った。「自身の出発点とは何か。そんなことを学校で問われるとは思っていなかった。必死に考え、この問いに対して導き出した回答が『Farmar』、つまり自分が生まれながらにしての農業従事者であるということだった」。
以降の宮坂は、自身がアーティストであると同時に、農業に従事する者であるということを強く意識するようになる。会場に展示されている平面作品《What is your starting point?》(2022)は、カプロ―の言葉が宮坂に与えた衝撃を物語る作品であり、またかつて宮坂が問われたように、鑑賞者各々のアイデンティティの在り処を問う作品でもある。































