屋外、そして対岸にまで膨張した美術館
展示は屋外にも続く。バスやバンの廃車を利用した《一役の存在を夢みて》や、大量のボウリングのピンを利用した《落ちて転んで・転んで落ちた7/9の我が人(ボーリングピン183本使用)》、玉石を敷き詰め、そこにネクタイを描いたパネルをサークル状に並べた《紳士たちの昼食会》といった巨大な作品が点在している。




武内は屋外展示場のみならず、自身で川岸に遊歩道を整備し、対岸にそびえ立つコンクリート製の作品《太陽の涙》を造成。武内が自ら鉄骨を溶接し、練ったセメントを流し込んで制作した本作は、頂上から「涙」として水を30分間隔で放出する機構も備えている。橋で川向うの作品側に渡ることもできるはずだったが、法令の問題もあり未完成のままとなっている。


ほかにも館の内外には武内の作品と所蔵作品1000点以上を展示。さらに武内の活動を記録した写真や新聞の切り抜き、アフリカのマコンデ族の彫像までが渾然一体となって見る者を圧倒していく。館は川岸に張り出すかたちで鉄骨を組んで増築を重ねており、屋外にはさらなる拡張を目指した痕跡も見られた。
館の鑑賞後、嘉子氏に話をうかがう機会を得た。武内の活動を理解し、支えてきた嘉子氏は、制作を続ける夫への尊敬の念と、病によってその志が途切れてしまったことへの無念さとともに、膨張し続けたこの美術館の行く末への不安も口にする。同館のコレクションは高知県立美術館による調査研究も行われており、同館で開催中の「高知の前衛 高﨑元尚と浜口富治」(2月28日〜3月31日)の関連プログラムとして鑑賞ツアーも実施された。しかし、4月以降はこれまでのように通年で開館することは難しいとも語る。
際限なく広がり続ける創作への欲求と、それによって生み出された圧倒的なエネルギーを浴びるように体感できる美術館。それは周囲の人間を惹きつけ、ときに逡巡や困惑も生み出す。高知の前衛が最終的に行き着いたといえる、美術とは何か、表現とは何かを根源的に問いかけるこの場所のことを、ここに記録しておきたい。



















