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はじめての美術館はどこに行く? 「ミュージアム・マニア」青い日記帳のTakがご案内(上野編)

新しい職場や学校に徐々に慣れてきた春。この時期には美術館・博物館に出かけてみてはいかがだろうか? 30年以上にわたり年間数百回、美術館・博物館に足を運び続けている「ミュージアム・マニア」であり、「青い日記帳」主宰の中村剛士(Tak)がはじめて美術館を訪れる人向けに、美術館の楽しみ方をエリアごとにご案内する。

文=中村剛士(Tak)

東京国立博物館 画像提供=東京国立博物館

 春は何か新しいことにチャレンジするのに持ってこいの季節です。新しい環境(職場や学校)に徐々に慣れてきたらアートに触れてみませんか。これまで絵画や彫刻に特段興味がなく自分で美術館へ行ったことのない人もこの機会に出かけてみましょう。

 とは言っても映画やライブと違いひとりで行くのはとてもハードルが高く感じるのが美術館や博物館です。目に見えない堅牢な壁が、いちげんさんを拒んでいるかのように思え中々腰をあげられないのではないでしょうか。

 そこで30年以上にわたり年間数百回、美術館・博物館に足を運び続けている「ミュージアム・マニア」を自称する不肖私が、はじめて美術館を訪れる人、ビギナー向けに楽しみ方やノウハウをお伝えする「はじめての美術館」シリーズを立ち上げました!エリアごとに6回に分け紹介していきます。これを読めば高い壁もぐんと低くなり、すぐにでも出かけたくなるはずです。

常設展示が充実の上野へ!

 第1回目は上野エリアにあるミュージアムを巡ってみましょう。いきなりですが、上野駅のすぐ近くにユネスコの世界文化遺産があることをご存知でしょうか。アメ横や西郷隆盛像しかとっさに頭に浮かびませんが、駅の目の前に世界遺産の建物があるのです。それが2016年に「ル・コルビュジエの建築作品―近代建築運動への顕著な貢献―」として登録された国立西洋美術館です。インドのチャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅のように駅舎自体が世界遺産になっているのを除き、世界でももっとも駅近の世界遺産が上野にあるなんて意外な盲点です。国立西洋美術館は、現代の西洋建築の基礎を築いたフランスを拠点に世界で活躍した建築家であるル・コルビュジエが、設計した日本で唯一の建物です。そんな建造物としての魅力や価値も高い国立西洋美術館をまずご案内します。

国立西洋美術館の前庭風景より、オーギュスト・ロダン《考える人(拡大作)》(1881−82〈原型〉、1902-03〈拡大〉、1926〈鋳造〉) 国立西洋美術館 松方コレクション

 その前に豆知識を。美術館・博物館はいつ行っても作品が観られる展示室と、年に数回の企画展(例えば「ゴッホ展」等)を開催する展示室を備えているのが一般的です。前者を常設展、後者を特別展と呼びます。ただしすべてのミュージアムが常設展を有しているわけではありません。上野エリアだと上野の森美術館東京都美術館東京藝術大学大学美術館などは特別展を専らとしており常設展はありません。

 逆に、国立西洋美術館や東京国立博物館国立科学博物館は十分すぎるほどの常設展示スペースを有しています。隅から隅まで全部見ようとしたら到底一日では足りません。上記の3館をハシゴするなんて初心者どころか上級者でも困難です。上野エリアの特徴のひとつとして常設展が充実しているミュージアムが多いことがあげられます。このことはとても大きな魅力であることは何回か通っていくうちに自ずと分かってくることでしょう。

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