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「第15回上海ビエンナーレ」開幕レポート。非人間との感覚的コミュニケーションを通じてひらく新しい芸術の可能性【2/5ページ】

 2階はもっとも紹介されるアーティストの数が多いフロアだ。展示スペースの中だけなく、廊下などの空間も活用しながら、合計40名のアーティストの作品が紹介されている。

 2階に上がってすぐの空間には、ソウルとベルリンを拠点に活躍する韓国出身のアーティストのヤン・ヘギュのインスタレーション《Accommodating the Epic Dispersion - On Non-Cathartic Volume of Dispersion》が現れる。今年開催された「瀬戸内国際芸術祭 2025」にも参加していたヤンは、カラフルなブラインドをつなげた大型作品のほかにも、自身によるブラジルの文化的景観に関する研究をもとに制作したコラージュ作品も出展している。

展示風景より、ヤン・ヘギュ《Accommodating the Epic Dispersion - On Non-Cathartic Volume of Dispersion》(2012)

 奥の展示空間に向かうまでの廊下でも、多様な作品が紹介されている。イスタンブールを拠点に活動するギョズデ・ミミコ・テュルッカンと、ニューヨーク出身のリサ・オッペンハイムの作品もそのひとつだ。彩度の高い作品が向かい合うかたちで並んでいる。

展示風景より、ギョズデ・ミミコ・テュルッカンの作品(右)とリサ・オッペンハイムの作品(左)

 廊下を抜けた先には、ベルギーのアントワープ出身で、現在メキシコを拠点に活動するフランシス・アリスの様々なサイズの映像作品が6点上映されている。本展では、コンゴ、メキシコ、デンマーク、台湾といった世界各国の子供たちのゲームに着想を得た作品群が紹介されている。会場の奥には平面作品も展示されているため見逃さないようにしてほしい。

展示風景より、フランシス・アリスの作品

 埼玉を活動拠点とするいけばな作家・大坪光泉は、会場に土や枝、捨てられた生花などを持ち込んだ。インドのヒンドゥー教に伝わるリンガに着想を得た本作は、過去ミュンヘンなどでも発表されている。本展のために制作された《Linga Shanghai》は、会場にほのかな花の香りをもたらしており、人々が作品に引き寄せられる様子は本展のテーマを想起させる。

展示風景より、大坪光泉《Linga Shanghai》(2025)