• HOME
  • MAGAZINE
  • INSIGHT
  • コロナ禍からのカムバック。上海のアート界が立ち向かう景気低迷…

コロナ禍からのカムバック。上海のアート界が立ち向かう景気低迷と時代の不確実性

第14回上海ビエンナーレやふたつのアートフェアが開幕した上海アートウィーク。経済不況、ヨーロッパと中東の紛争、東アジアでの緊張など様々な不確実性が続くなか、上海のアートシーンの現状はどうなっているのか。現地からレポートする。

文・撮影=王崇橋(ウェブ版「美術手帖」編集部)

11月8日〜2024年1月1日に上海復星芸術中心で開催されているウーゴ・ロンディノーネ展の展示風景より

 「今年の上海はイベントが多い」。これは今年11月の上海アートウィークでもっともよく聞かれた声のひとつ。そしてもうひとつは、「今年は経済情勢がうまくいっていない」というものだ。

 第14回上海ビエンナーレや、ウェストバンド・アート&デザイン、ART021といったふたつのアートフェアが開幕した上海アートウィークの期間中(およそ11月6日〜12日の1週間)、上海の美術館やギャラリーでは100以上の展覧会が同時に開催されているという。昨年の2ヶ月以上にわたる大規模なロックダウンや、ART021の開幕後わずか1日での急遽閉幕など様々な事件を経て、上海は今年3月の香港と同じように、数多くの展覧会オープニングやディナーを通じて上海のカムバックを宣言し、中国本土随一のアートハブとしての底力を示している。

ウェストバンド・アート&デザイン2023の開幕前の様子

 しかし、昨年11月に上海の若者たちが政府の過酷な「ゼロコロナ」政策に抗議するために起こした「白紙運動」をはじめ、今年の中国不動産不況とそれに伴う若者の失業率の上昇、消費マインドの低迷、デフレへの懸念などを経て、上海はかつてのようなアドバンテージを維持できているのだろうか?

Exhibition Ranking