本展は全6章構成で難波田の画業をたどるものだ。第1章「初期作品と古代憧憬」は、難波田の初期作品を展示し、その戦前の活動を追う。
大正期、最初に難波田が強い関心を持ったのは詩であった。彫刻家、画家、詩人である高村光太郎(1883〜1956)と出会った難波田は、その薫陶を受けるなかで絵に目覚め、やがて画家を志すようになる。難波田は高村のもとで見たギリシア彫刻の写真集や、「金曜会」の主宰者である画家・川島理一郎からの影響を受けつつ、1930年代の半ばごろより、ギリシアの古代彫刻やレリーフをモチーフとする絵画を集中的に制作するようになった。

会場では難波田がこの時期に描いた、豊かな想像力によるギリシャ彫刻や、「自己が分裂せずに統合されていた時代」としての古代への思いを深めていった、初期の作品を見ることができる。




















