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「難波田龍起」(東京オペラシティ アートギャラリー)開幕レポート。21世紀に再発見する、抽象の向こうの人、もの、景色

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 本展は全6章構成で難波田の画業をたどるものだ。第1章「初期作品と古代憧憬」は、難波田の初期作品を展示し、その戦前の活動を追う。

 大正期、最初に難波田が強い関心を持ったのは詩であった。彫刻家、画家、詩人である高村光太郎(1883〜1956)と出会った難波田は、その薫陶を受けるなかで絵に目覚め、やがて画家を志すようになる。難波田は高村のもとで見たギリシア彫刻の写真集や、「金曜会」の主宰者である画家・川島理一郎からの影響を受けつつ、1930年代の半ばごろより、ギリシアの古代彫刻やレリーフをモチーフとする絵画を集中的に制作するようになった。

展示風景より、左から《ヴィナスと少年》(1936)、《戦士と母子》(1936)ともに板橋区立美術館蔵、《CHARIOTEER(ギリシャ彫刻より)》(1935)東京オペラシティ アートギャラリー蔵

 会場では難波田がこの時期に描いた、豊かな想像力によるギリシャ彫刻や、「自己が分裂せずに統合されていた時代」としての古代への思いを深めていった、初期の作品を見ることができる。

展示風景より、左から《ペガサスと戦士》(1940)世田谷美術館蔵、《廃墟(最後の審判より)》(1942)東京オペラシティ アートギャラリー蔵

編集部