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新年飾る「瑞祥のかたち」(皇居三の丸尚蔵館)。若冲の名作も

皇居三の丸尚蔵館で、新年を飾る展覧会「瑞祥のかたち」が開催中だ。会期は3月2日まで。

文・撮影=橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長)

展示風景より。手前は沼田一雄《陶彫唐獅子》(1928)

 2026年秋に全面開館予定の皇居三の丸尚蔵館で、新年を飾るにふさわしい展覧会「瑞祥のかたち」が開催中だ。会期は3月2日まで。

展示風景より

 本展の主題となるのは、古くから愛されてきた様々な「吉祥」のモチーフ。例えば、古代中国において不老不死の仙人が住むと考えられた蓬莱山は、日本では吉祥図として描かれ、長寿を象徴する鶴と亀が添えられた島台などの縁起物としても表されてきた。蓬莱山への憧れは、霊峰・富士の姿にも重ねられる。巨大な亀の上に州浜が乗り、その上に蓬莱山がそびえる狩野常信の《蓬莱図》(17〜18世紀、展示期間〜2/2)は、明治天皇の大婚25年の際に根岸武香によって献上されたもの。今回が初公開だ。

展示風景より、狩野常信《蓬莱図》(17〜18世紀、展示期間〜2/2)

 鳳凰も古くより高貴さの象徴として絵画や工芸に取り込まれ、皇室ゆかりの品々には数多く登場している。麒麟と唐獅子も空想上の霊獣だが、泰平の願いをこめて表現されてきた。

 伊藤若冲の《旭日鳳凰図》(1755、展示期間〜2/2)は想像上の鳳凰が見事な描写によって細密に描き出されており、色鮮やかな羽を持つ雌雄の鳳凰が神々しさを放つ。

展示風景より、伊藤若冲《旭日鳳凰図》(1755、展示期間〜2/2)

 同じ鳳凰でも、結城素明の《鳳凰之図》(1925、展示期間〜2/2)は淡くも力強い色彩によって描かれた対の鳳凰が優雅に舞う。鳳凰の止まり木とされる梧桐の花の描き方も特徴的だ。

展示風景より、結城素明《鳳凰之図》(1925、展示期間〜2/2)

編集部

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