吉祥画題として欠かせない富士山。横山大観の《日出処日本》(1940、展示期間〜3/2)は、昭和15年の「紀元二千六百年奉祝美術展覧会」に出品されたもの。生涯で2000点とも言われる富士山を描いた大観だが、本作はそのなかでも最大級の作品だ。
唐獅子を描いたものとしては、前田青邨による大作《唐獅子》(1935)は必見。明快な色使いと琳派風の輪郭線、大胆なデフォルメ、そしてプラチナ箔の使用など、新たな唐獅子像を提示している。三菱の岩崎小彌太・久彌が献上した一品。
工芸からは、塚田秀鏡・黒川義勝による写実的な《双鶴置物》(1915、展示期間〜3/2)や、二代 海野美盛《鳳置物》(1916、展示期間〜3/2)、そして鼈甲細工が見事な江崎栄造《宝船「長崎丸」》(1916、示期間〜3/2)といった作品群に目を凝らしたい。
なお、展示後期(2月4日)からは、国宝に指定されている伊藤若冲の《動植綵絵 老松白鳳図》(1766頃)も登場。前後期あわせて吉祥モチーフの名品を堪能してみてはいかがだろうか。
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