大阪中之島美術館で、「日本美術の鉱脈展 未来の国宝を探せ!」が開催される。会期は2025年6月21日〜8月31日。担当学芸員は林野雅人(大阪中之島美術館 主任学芸員)、監修は山下裕二(明治学院大学教授)。なお、本展は大阪・関西万博の会期中(2025年4月13日~10月13日)に実施される。
日本美術には、いまだ世に知られていない作者・作品が数多く埋もれている。例えば、美術ファンの多くがその名を知っているであろう伊藤若冲は、2000年に京都国立博物館で開催された展覧会をきっかけに空前の若冲ブームが巻き起こったものの、それ以前は一般的には「知られざる鉱脈」であった。本展では、いまなお眠る日本美術の鉱脈を掘り起こし、鑑賞者自身が「未来の国宝」を発見していく機会を創出する野心的な取り組みとなる。
本展では、そんな若冲をはじめとする奇想の画家たちや、霊彩・雪村周継・式部輝忠といった室町時代の水墨画、長谷川巴龍や素人が描いたとされる素朴絵、幕末から明治にかけて生まれた洋画家・原田直次郎による奇天烈なエスキース、初代宮川香山など超絶技巧として注目を集める工芸作品、大正から昭和期の不染鉄や牧島如鳩による作品。そして、山下が次の国宝に選ばれてもおかしくないと称賛する重要文化財の「深鉢型土器」など、あまり知られていない国内美術館の収蔵品が多数紹介される予定となっている。
なかでも注目されるのは、伊藤若冲と円山応挙が初めて合作したとされる新発見の屏風だ。それぞれが一隻ずつ手がけたとされる二曲一隻の屏風であり、同じ京都画壇で活躍しつつも、これまで接点がなかったとされる若冲と応挙の交流を決定づける資料でもある。
ほかにも、現存するモノクロ写真からデジタル推定復元された伊藤若冲の《釈迦十六羅漢図屏風》(制作=TOPPAN株式会社)も本展では展示予定だ。若冲独自の「枡目描き」によって制作された同作は、モノクロ写真の高精細スキャニングを行い、12万以上の枡からなる画面をデジタルで彩色。特殊な印刷技術によって表現し、名作をこの令和の時代に甦らせている。絵の具の盛り上がりまで再現されているため、こちらもぜひ会場でご覧いただきたい。
さらに、本展では「未来の国宝」と称された数多くの出展作品を受けた、現代作家らによる作品もいくつか展示されるようだ。こちらの詳細については続報を待ちたい。