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特別展「はにわ」(東京国立博物館)開幕レポート。人々に愛される「はにわ」とは何者か【2/6ページ】

プロローグ/第1章「王の登場」

 展覧会冒頭のプロローグでは、埼玉・熊谷の野原古墳より出土した《埴輪 踊る人々》(6世紀)が、来場者を迎える。簡略化された口や手とその仕草から非常に有名な本作であるが、1930年当時の出土時の記録は残されておらず、また円筒部はすべて復元されたもので、原型部分は少ない。それでも、本作が多くの人の心を惹きつけてきたのは、この「ゆるさ」だろう。多くの人々が魅力を感じる「はにわ」を象徴する作品だ。解体修理後初の展示となる。

展示風景より、《埴輪 踊る人々》(6世紀)東京国立博物館蔵

 第1章「王の登場」では、国宝の副葬品で古墳時代を概説し、埴輪がつくられた時代と背景を振り返る。

 古墳時代前期(3〜4世紀)に、埴輪は前方後円墳とともに全国に普及した。中期(5世紀)になると、例えば江田船山古墳の出土品の《衝角付冑(しょうかくつきかぶと)》や《頸甲(あかべよろい)》のような武人的な性格の強い副葬品が目立つようになる。

展示風景より、《衝角付冑》《頸甲》《横矧板鋲留短甲》(すべて5〜6世紀)東京国立博物館蔵

 そして、後期(6世紀)になると、ヤマト王権の中央集権的な性格が強まり、また乗馬の風習がより広まる。例えば、群馬・高崎市の綿貫観音山古墳から出土した副葬品は、金銅製の装身具、武器、馬具などで、王とその馬を飾り立て、権威を示すものとしてこの時代の傾向を端的に物語る。

展示風景より、左が《金銅製鈴付大帯》(6世紀)文化庁(群馬県立歴史博物館保管)

 このように、第1章では古墳時代を通して文化や風習がどのように移り変わり、それらがどのように副葬品に反映されてきたのかをまとめて知ることができる。

編集部

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