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「歴史の未来―過去を伝えるひと・もの・データ―」(国立歴史民俗博物館)開幕レポート。歴史はいかに残されてきたか、これからいかに残せるのか

千葉県佐倉市の国立歴史民俗博物館で、歴史資料を未来へつなぐための営みを紹介するとともに、そのあるべき姿を考える企画展示「歴史の未来―過去を伝えるひと・もの・データ―」が開幕した。会期は12月8日まで。

文・撮影=安原真広(ウェブ版「美術手帖」副編集長)

展示風景より、阪神淡路大震災の震災資料

 千葉県佐倉市の国立歴史民俗博物館で、歴史資料を未来へつなぐための営みについて紐解く企画展示「歴史の未来―過去を伝えるひと・もの・データ―」が開幕した。会期は12月8日まで。

エントランス

 過去から伝えられた記録類や生活道具、人々によって語り継がれた記憶などは、現代を生きる我々に多くのことを伝えてくれている。また、これらを伝えようとした人々の営みに注目すると、ありふれた事象のなかに歴史的な意義を見出し、未来の人々に継承する意思が存在したことにも気づくことができる。

展示風景より、被災資料の救出作業で使われる作業着や道具の展示

 本展はこのような歴史を伝える様々な営みを紹介することで、未来を見通す手がかりを6章構成とエピローグによって考えるものだ。

 まず、会場のエントランスには、新型コロナウイルスの対策のために使われていた検温装置とプッシュ式のディスペンサーが展示されている。これらはコロナ禍において同館で実際に使用されていたものだが、パンデミックから年月を経たいま、こうした対策のための備品も歴史資料となっていくことも考えられる。我々が生きる「いま」もまた歴史の一部であり、そのなかには後世に伝えるべき事物が存在するという本展のメッセージが端的に現れているといえよう。

展示風景より、検温装置とプッシュ式ディスペンサー

編集部

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