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「塩田千春 つながる私(アイ)」展(大阪中之島美術館)開幕レポート。伝えるのは多様な「つながり」のかたち【3/3ページ】

 5着のドレスと5つのオブジェが回転するインスタレーション《多様な現実》(2022/2024)を通ると、本展のテーマにもっとも近い作品《つながる輪》(2024)が展示されている。同作では、7月末まで一般公募で集めた1500通以上の手紙が使用されており、それぞれの手紙には「つながり」についての様々な人の思いが込められている。

展示風景より、《多様な現実》(2022/2024)
展示風景より、《つながる輪》(2024)
展示風景より、《つながる輪》(2024)

 隣のコーナーでは、塩田が会場でつくった6つ目のインスタレーション《他者の自分》(2024)が展示。多くの人体模型を用いたこの作品は、国際芸術祭「あいち2022」において元看護専門学校の解剖学標本室で発表した作品からインスピレーションを受けたもの。また、友人が腎臓移植後に魚を好むようになり、その腎臓の本来の持ち主もきっと魚が好きだったろうというエピソードから、臓器移植によって他者の存在が自分の中に入り込むこと、そして臓器が自分に与える影響について考えさせられ、この作品をつくることに至ったという。

展示風景より、《他者の自分》(2024)

 「自分自身が抗がん剤治療を受けていたとき、自分の足は地に着いているのに、体がどこか別の場所につながっているような、自分の体ではないような感覚に襲われたことがある」と話す塩田。同作には、他者や宇宙とつながっているような感覚も込められているという。

 インスタレーションや映像、ドローイングなど、多様な実践で「つながり」の意味を本展で問いかける塩田千春。その作品に向き合い、自らにとっても「つながり」とは何か、その答えを探ってみてほしい。

編集部

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