令和7年度芸術選奨が決定。美術部門大臣賞は安藤榮作、岡﨑乾二郎、深澤直人が受賞

文化庁が令和7年度(第76回)の芸術選奨受賞者を発表。美術部門では文部科学大臣賞に安藤榮作、岡﨑乾二郎、深澤直人、新人賞に青木千絵、玉山拓郎、evala、永山祐子が選ばれた。

「岡﨑乾二郎 而今而後 ジコンジゴ Time Unfolding Here」展(東京都現代美術館)の展示風景より

 文化庁は、令和7年度(第76回)芸術選奨文部科学大臣賞および同新人賞の受賞者を発表した。芸術選奨は、演劇、映画、音楽、舞踊、文学、美術など12の分野において顕著な業績を挙げた者を顕彰するもので、文部科学大臣賞と新人賞が設けられている。

 本年度の美術部門では、美術A(主に造形美術)および美術B(デザイン、建築、メディア・アートなど)からそれぞれ受賞者が選出された。

文部科学大臣賞

 美術A部門の文部科学大臣賞には、彫刻家の安藤榮作と美術家・批評家の岡﨑乾二郎が選ばれた。

 安藤は、東日本大震災および福島第一原発事故を経て制作拠点を奈良に移し、生と死を主題とする木彫表現を深化させてきた作家。奈良県立美術館で開催された個展「約束の船」では、地元の木材を用いた彫刻と平面作品を融合させた大規模インスタレーションを発表。斧による独自の技法で刻まれた彫刻群は、深い精神性を湛えながら、現代に生きる私たちに魂の所在を問いかけた。その成果は、日本の現代彫刻に新たな可能性を示すものとして高く評価された。

 岡﨑は、造形と批評を往還しながら独自の思索を展開してきた美術家。2021年に脳梗塞を患った後、造形作家として新たな局面を迎えた。東京都現代美術館で開催された「岡﨑乾二郎 而今而後 ジコンジゴ Time Unfolding Here」展では、転回以前の代表作を網羅するとともに、身体性を強く反映した新作群を発表。粘土作品を3Dスキャンで拡大した彫刻は、巨大さと高解像度の細部を併せ持つ独自の存在感を示し、作家の新境地を印象づけた。

「岡﨑乾二郎 而今而後 ジコンジゴ Time Unfolding Here」展(東京都現代美術館、2025)の展示風景より

 美術B部門の文部科学大臣賞は、プロダクト・デザイナーの深澤直人が受賞した。

 深澤は、人間の行動観察を基盤としながら、文化的文脈や感覚的要素を統合する独自のデザイン活動を展開してきた。2025年度には、その創造哲学を俯瞰する展覧会が開催され、カント哲学を参照したタイトルのもと、長年の実践と思想が改めて提示された。国際的にも高い評価を受ける活動の継続性と、その思想的射程が評価理由となった。