2月12日、「第2回絹谷幸二芸術賞」の発表と授賞式が東京都台東区の日本芸術院で開催。川田知志が大賞、弓指寛治が奨励賞を受賞した。
川田知志は1987年に大阪府で生まれ、京都市立芸術大学大学院を修了後、フレスコ技法を軸にした大規模な壁画を制作している。その作品は、日本の都市近郊の均質化した風景を断片化し、再構築して描くことで知られており、空間全体を覆う圧倒的なスケールが特徴的だ。
また、川田は「Tokyo Midtown Award 2020」で準グランプリを受賞した経歴を持ち、3月30日まで東京都現代美術館で開催中の「MOTアニュアル2024 こうふくのしま」をはじめ、「川田知志:築土構木」(ザ・トライアングル、京都市京セラ美術館、2024)などの展覧会に参加している。
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京都市京セラ美術館 ザ・トライアングルでの展示風景より 撮影=来田猛
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京都市京セラ美術館 ザ・トライアングルでの展示風景より 撮影=来田猛
いっぽう、弓指寛治は1986年、三重県生まれ。名古屋学芸大学大学院を修了後、映像制作会社を立ち上げたが、2015年に母親の自死を経験したことが転機となり、死者への鎮魂をテーマにした作品を制作するようになった。
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その作品は、社会や歴史のタブーとされる出来事に焦点を当て、満洲国や著名人の自死、路上生活者など、社会の暗部に迫ることで、観る者に強い当事者意識を呼び起こす。また、各地の芸術祭でキュレーターとしても活躍しており、「VOCA展2021」で佳作賞を受賞した経歴を持つ。昨年には、国立西洋美術館で開催されたグループ展「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?──国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ」にも参加した。
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絹谷幸二芸術賞は、日本を代表する洋画家であり、文化勲章を受章した絹谷幸二の「次代を担う新進アーティストを応援したい」という熱意のもと、2023年に創設された。この賞は、全国の美術関係者から推薦された作家のなかから、絹谷、国立国際美術館長の島敦彦、埼玉県立近代美術館長の建畠晢の3名の選考委員によって選ばれる。授賞式では、川田に100万円、弓指に50万円の賞金とともに賞状が贈られ、さらに川田には研修のための海外渡航費も支援された。