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「没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ」(サントリー美術館)開幕レポート。3つの万博からガレの足跡をたどる

サントリー美術館で「没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ」がスタートした。会期は4月13日まで。

文・撮影=三澤麦(ウェブ版「美術手帖」編集部)

展示風景より、エミール・ガレ ランプ「ひとよ茸」(1902頃)

 東京・六本木のサントリー美術館で、「没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ」がスタートした。会期は4月13日まで。担当学芸員は林佳美(サントリー美術館 学芸員)。企画監修は土田ルリ子(富山市ガラス美術館 館長)。

 エミール・ガレ(1864〜1904)は、フランス北部の古都ナンシーに生まれ、父が経営する高級ガラス・陶磁器の製造卸販売業を継承。また、ガラスや陶器、家具の分野で独創的な表現力や研究力を発揮し、首都パリにおいても大きな成功を収めた。

 本展は、ガレの没後120年に端を発する企画で、富山市ガラス美術館からの巡回展。会場構成は、ガレがパリに認められるきっかけとなった3つの万博を骨子とし、3つの章と2つのコラムからその創造性や人脈の広がりにフォーカスするものとなる。

第2章「1889年パリ万博、輝かしき名声」展示風景より、左はエミール・ガレ

 プロローグ「1867年 はじめてのパリ万博、若かりしガレの面影」では、経営者であり職人でもあった父シャルルの技術を引き継いだガレによる、歴史主義的で繊細なデザインの初期作品が並んでおり、キャリアの始まりを予感させるような導入だ。

展示風景より、エミール・ガレ「蓋付コンポート」(1870頃)

 第1章「ガレの国際デビュー、1878年パリ万博から1884年第8回装飾美術中央連合展へ」では、章タイトル通りパリ万博(1878)や第8回装飾美術中央連合展(1884)に出展されたガレの作品が陳列されている。77年に家業を引き継いだガレにとって、このパリ万博は経営者として初の出展であり、さらにガラス部門では銅賞も受賞。まさに華々しい国際デビューとなった。

展示風景より、エミール・ガレ 脚付杯「四季」(1878)
Paris, musée des Arts décoratifs
展示風景より、エミール・ガレ 花器「鯉」(1878)。ガレの初期作品におけるジャポニスム様式の代表作で、78年のパリ万博に出展している。水色が特徴の「月光色ガラス」も発表

 さらに、第8回装飾美術中央連合展(1884)でガレは、審査員に向けた作品の解説書を作成し提出。ガラスと陶器の製法について独自の研究を重ねた成果が記されており、意欲的な様子も見てとれる。

展示風景より、「第8回装飾美術中央連合展 ガラス部門および陶器部門審査委員会宛解説書」(1884)

編集部

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