弓指寛治は1986年三重県出身の芸術家。自身の母親の自死をきっかけに「自殺」をテーマに、死者への視点を変容させる絵画を手がけている。
2018年2月に「第21回岡本太郎現代芸術賞敏子賞」を受賞した弓指は、受賞作品《Oの慰霊》の続編として個展「四月の人魚」(ゲンロン カオス*ラウンジ五反田アトリエ、2018)を開催。同展では、80年代に社会現象になったアイドル・岡田有希子の自死をモチーフに、「慰霊」が持つ力を問いかけた。
そして今回、東京・南青山の岡本太郎記念館で開催される特別展示「太郎は戦場へ行った」では、1942年から約4年半にわたって出征していた岡本太郎をテーマに描いた新作絵画を発表するという。同作は、戦争未体験の弓指自身と、戦地で生き延びた太郎を対照した、弓指なりの「戦争画」だ。
弓指は、本展の展示に合わせて、同館所蔵の《眠る兵士》(1945)をディレクションして配置。同作は、太郎が終戦間際に戦地で描いたスケッチである。
さらに弓指は、3月から東京都墨田区のシープスタジオでも個展「ダイナマイト・トラベラー」を開催予定。同展では、エッセイスト・末井昭の母にあたる女性が、ダイナマイトで心中した事実を扱うという。