世界でもっとも来場者が多い美術館のひとつであるパリのルーヴル美術館。その大規模な改修計画が発表された。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、1月28日にルーヴル美術館の《モナ・リザ》の前で演説を行い、この計画を発表。「ルーヴル・ヌーヴェル・ルネサンス」と呼ばれるこの改修計画では、セーヌ川近くに新しい大規模な入口や、《モナ・リザ》のための専用展示室などが設けられる。
同館の最後の大規模改修は1980年代に行われ、その際にシンボルとなるガラスのピラミッドが公開された。当時の改修は年間400万人の来館者を想定していたが、昨年、同館の来館者数は870万人に達し、その4分の3以上がアメリカ、 中国、イタリア、イギリス、ドイツ、スペインなどの外国からの訪問者だった。
今回の改修費用は、7億~8億ユーロ(約1140億~1300億円)に達する見込みで、2031年に完成する予定。フランス政府は今後数ヶ月以内に国際的な建築コンペを開催し、最終的に選ばれたデザインによって改修が進められるという。
改修計画の一環として新しい入口が設けられ、それによって現在のピラミッド入口の混雑を緩和し、訪問者にとってより快適なアクセスを提供することを目指す。また、《モナ・リザ》は専用の展示室に移され、特別なチケットを購入した鑑賞者のみがアクセスできるようになる。
さらに、美術館の中庭の下には新しい展示室も建設され、隣接するカルーセル庭園とチュイルリー庭園も修復される予定。また、セキュリティや収蔵品の安全性、スタッフの労働条件、アクセシビリティなども改善されるという。
改修費用はチケット販売やアブダビ分館からの収益、パトロンの寄付などで賄われる予定。また、改修に伴いEU圏外からの来場者に対してチケット料金も現在の22ユーロ(約3600円)から引き上げられる予定だという。
マクロン大統領はXの投稿で次のように述べている。「私たちのルーヴル美術館は、セザンヌが言ったように、世界の美術館であり、私たちが読むことを学ぶ書物だ。それを生き返らせよう」。