知られざるアートの系譜。書籍 『クィア・アートの世界 自由な性で描く美術史』が刊行

これまで語られてこなかったアートの世界を紹介する書籍 『クィア・アートの世界 自由な性で描く美術史』が9月14日、パイ インターナショナルから刊行される。

『クィア・アートの世界 自由な性で描く美術史』表紙

 書籍 『クィア・アートの世界 自由な性で描く美術史』が9月14日、パイ インターナショナルから刊行される。

 「クィア」という言葉は、もともと「変わった」「風変わりな」といった意味を持ち、英語圏では同性愛者などに対する侮蔑表現でもあった。いっぽうで、その否定的なイメージを変えるべく、あえて当事者の方々が自己肯定的に自らを「クィア」と名乗り、用いるようにもなっていった。21世紀に入ると「クィア・アート」というジャンルがはっきりと意識されるようになるが、そのアート史における新たな試みはまだ始まったばかりである。

 本書は、そのような「クィア」の社会的、歴史的変遷を振り返りながら、「アートにおけるクィア」をセクシュアルマイノリティに限らず、抑圧や差別等によりアートとして語られてこなかった広いジャンルの作品も含めて包括して取り上げるものだ。

『クィア・アートの世界 自由な性で描く美術史』より

 本書では、LGBTQ+のアート、フェミニズムのアート、カウンターカルチャー、ポップ・カルチャーにおける多彩な表現などを紹介。また、古代エジプトから現代までの美術(絵画、挿絵、彫刻)を中心に、多岐にわたるジャンルの作品とともに、アート史における「クィア」の流れを追うことで、「クィア・アート」の系譜を探究する。美術史上の名作とされる作品の中に「クィア」性を見出したり、抑圧や偏見、差別によってこれまで見ることができなかった多様な作品を、驚きと感動、そして問題提起を含んだ解釈で紹介する。

『クィア・アートの世界 自由な性で描く美術史』より
『クィア・アートの世界 自由な性で描く美術史』より
『クィア・アートの世界 自由な性で描く美術史』より

※2022年9月30日 出版社の書籍情報の変更に伴い、記事内容を一部修正しました。

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