今週末に見たい展覧会ベスト18。学習院の新ミュージアムから大覚寺、パウル・クレーにロバート・キャパまで【2/8ページ】

「花器のある風景」(泉屋博古館東京

展示風景より

 東京・六本木の泉屋博古館東京で、住友コレクションから花器と花器が描かれた絵画を紹介する企画展「花器のある風景」が3月16日まで開催されている。会場レポートはこちら

 日本における花器の歴史は、中国より寺院における荘厳の道具として伝来したのがはじまりとされる。室町時代には連歌や茶会、 生花など室内芸能がさかんになり、中国から輸入された唐物と称される書画、調度類や茶道具、文房具を座敷に並び立てる「座敷飾り」が発展。床の間の飾りには、唐物の花生、香炉、香合、天目などが飾られた。

 茶の湯の世界でも、清浄なる空間を演出するものとして、花器は重用された。唐物の金属製の花器をもとに、日本でも中世以降、陶磁器や竹など様々な素材で花器がつくられ、日本独自の美意識が誕生。住友コレクションには、室町時代の茶人、松本珠報が所持したとされる《砂張舟形釣花入 銘松本船》、江戸時代の茶人、小堀遠州ゆかりの《古銅象耳花入 銘キネナリ》などの花器が伝世されており、こうした茶の湯と花器の歴史をたどることができる。

会期:2025年1月15日〜3月16日
会場:泉屋博古館東京(旧・泉屋博古館分館)
住所:東京都港区六本木1-5-1 
開館時間:11:00〜18:00(金〜19:00)※入館は閉館の30分前まで
料金:一般 1200円 / 学生 600円 / 18歳以下 無料

米谷健+ジュリア「CRYSTAL PALACE」(art cruise gallery by Baycrew’s)

展示風景より

 株式会社ベイクルーズが運営する虎ノ門ヒルズ ステーションタワー内のアートギャラリー「art cruise gallery by Baycrew’s」で、第6回展示として米谷健+ジュリアの個展「CRYSTAL PALACE」が開催されている。会期は3月16日まで。会場レポートはこちら

 米谷健+ジュリアは元金融ブローカーと元大学の歴史学者という異色のアートユニット。現在は京都を拠点に、有機農業も営みつつ制作活動を行っている。インスタレーション、パフォーマンス、立体や映像など様々な表現方法で、環境問題や社会問題を美的かつユーモアあふれる作品に変換し、国際的にも高い評価を受けているアーティストユニットだ。

 本展では、代表作であるインスタレーション《クリスタルパレス:万原子力発電国産業製作品大博覧会》から9点が展示室に浮かぶ。1851年のロンドン万国博覧会の会場としてハイドパークに建てられた全面ガラス張りの巨大建造物「クリスタルパレス(水晶宮)」に由来するもので、ふたりは世界で原発による発電を行っている32の国のシャンデリアを制作した。一点一点に原発保有国名がつけられており、サイズはその国の原発からつくり出される電力の総出力規模(メガワット:IAEA資料参考)に比例している。

会期:2025年1月30日〜3月16日
会場:art cruise gallery by Baycrew’s
住所:東京都港区虎ノ門2-6-3 虎ノ門ヒルズ ステーションタワ ー3F SELECT by BAYCREW’S 内
開館時間:11:00〜20:00(1月30日〜18:00) ※入場は19:30まで
休館日:SELECT by BAYCREW’Sに準ずる
料金:無料

編集部

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