今週末に見たい展覧会ベスト10。GO FOR KOGEIから草間彌生、「はにわ」まで

今週閉幕する/開幕した展覧会のなかから、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。なお、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

特別展「はにわ」展示風景より

もうすぐ閉幕

黄土水とその時代―台湾初の洋風彫刻家と20世紀初頭の東京美術学校(東京藝術大学大学美術館

 東京藝術大学大学美術館の「黄土水とその時代―台湾初の洋風彫刻家と20世紀初頭の東京美術学校」が10月20日に閉幕する。

 台湾出身者初の東京美術学校留学生として知られる彫刻家・黄土水(1895〜1930)。本国では2023年に代表作《甘露水》(1919)が国宝に指定された。本展は、国立台湾美術館からこの《甘露水》を含む黄土水の作品10点と資料類を展示するとともに、藝大コレクションより黄が美校で学んでいた大正から昭和初期の時期を中心とした洋画や彫刻の作品48点をあわせて紹介するものだ。

会期:2024年9月6日~10月20日
会場:東京藝術大学大学美術館
住所:東京都台東区上野公園12-8
開館時間10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし、9月16日、9月23日、10月14日は開館)、9月17日、9月24日、10月15日
料金:一般 900円 / 大学生 450円 / 高校生および18歳以下無料

南条嘉毅展|地中の渦(KAAT神奈川芸術劇場)

 KAAT神奈川芸術劇場で10月20日まで、「KAAT EXHIBITION 2024 南条嘉毅展|地中の渦」が開催されている。

 KAAT EXHIBITIONは、KAAT神奈川芸術劇場の劇場空間と現代美術の融合による新しい表現を展開するKAAT独自の企画シリーズ。9回目となる本展は、南条によるここでしか見られない新作インスタレーションを展示する。KAAT神奈川芸術劇場が建っている地域は、古くは先史時代から人々が住み始め、文明開化の明治時代には開港地として外国人居留地が設置され、現代の横浜の発展へとつながる重要な場所であり、現在でも地層のなかからその痕跡が発掘されている。 本展は、横浜の地中へと潜り、地層のなかに埋もれた現代に至る歴史や人々の暮らしの痕跡から、そこに生きた「某(なにがし)」を感じることで、現在人々が見ている景色や暮らしを再認識するものとなっている。

会期:2024年9月23日~10月20日
会場:KAAT神奈川芸術劇場
住所:神奈川県横浜市中区山下町281
開館時間:11:00~18:00 ※入場は閉場の30分前まで
休館日:火(10月1日、10月8日、10月15日)※9月24日は開場
料金:一般 1000円 / 学生、65歳以上 500円 / 高校生以下無料

「GO FOR KOGEI 2024」(金沢市・富山市)

展示風景より、サリーナー・サッタポン《バレン(シアガ)アイビロング:富⼭》(2024)

 工芸を主軸に、現代美術、アール・ブリュット、デザインを横断的に紹介する芸術祭「GO FOR KOGEI 2024」が10月20日に閉幕する。レポート記事はこちら

 「GO FOR KOGEI 2024」の会場は、初開催となる東山エリア(石川県金沢市)と、昨年も会場となった岩瀬エリア(富山県富山市)の2会場。ものづくりが古くから受け継がれてきた北陸にて 「くらしと工芸、アートにおける哲学的なもの」をテーマに、作品展示のほか様々なイベントを通じて、現代における新たな工芸を発信するものだ。総合監修・キュレーターはこれまで同様、秋元雄史(東京藝術大学名誉教授)が務めている。

会期:2024年9月14日〜10月20日
会場:富山県富山市(岩瀬エリア)、石川県金沢市(東山エリア)
開館時間:10:00〜16:30 ※入場は16:00まで
休館日:沙石(火曜)、SKLo(水曜)ほかは会期中無休
パスポート料金:一般 2500円 / 学生 2000円 / 高校生以下無料

今週開幕

特別展「はにわ」(東京国立博物館

特別展「はにわ」展示風景より

 古墳時代の約350年間、王の古墳に並べられた素焼きの造形物「埴輪(はにわ)」。この埴輪に焦点を当てた、挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」が、東京・上野の東京国立博物館で開幕した。レポート記事はこちら

 いまから1750年ほど前に制作が始まった埴輪は、時代や地域ごとに個性豊かなものが制作された。なかでも東京国立博物館に所蔵されている国宝《挂甲の武人》は最高傑作とされる。本展はこの《挂甲の武人》が国宝に指定されて50周年を記念し、全国各地から約120件の選りすぐりの埴輪をプロローグ・エピローグと全5章で紹介するものとなっている。

会期:2024年10月16日〜12月8日
会場:東京国立博物館
住所:東京都台東区上野公園13-9
開館時間:9:30〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(11月4日は開館)、11月5日は本展のみ開館
料金:一般 2100円 / 1300円 / 高校生 900円

「私は死を乗り越えて生きてゆきたい」(草間彌生美術館

 東京・弁天町の草間彌生美術館で、草間彌生の死生観の表出と変遷を取り上げる展覧会「私は死を乗り越えて生きてゆきたい」が開幕した。レポート記事はこちら

 1929年生まれの草間は、複雑な家庭環境下で太平洋戦争を体験し、トラウマや神経症による自殺未遂衝動を創作によって乗り越えてきた。そんな草間にとって生と死は、自身の創作における差し迫った問題でもあった。本展は1940年代の絵画から最新作までを展示することで、草間がいかに生と死に向き合ってきたかを探るものだ。

会期:2024年10月17日〜2025年3月9日
会場:草間彌生美術館
住所:東京都新宿区弁天町107
電話番号:03-5273-1778
開館時間:11:00~17:30 ※日時指定の予約・定員制(各回90分)。毎月1日10:00(日本時間)に美術館ウェブサイトにて翌々月分のチケット発売開始。美術館窓口での取り扱いなし。チケットは美術館ウェブサイトのみで販売 
休館日:月、火、水、12月23日〜2025年1月3日
料金:一般 1100円 / 高校・中学・小学生 600円

「DESIGNART TOKYO 2024」(都内各所)

 東京都内各所を舞台にデザイン、アート、インテリア、ファッションなどが多彩なプレゼンテーションを開催する日本最大級のデザイン&アートフェスティバル「DESIGNART TOKYO」が今年も開催される。

 メインテーマは、「Reframing ~転換のはじまり~」。オフィシャルエキシビション「Reframing」展では、金澤韻、青木竜太ら4人がキュレーションするもので、18組のクリエイターによる“Reframing”を提示する。そのほか、「AXIS Gallery JOINT EXHIBITION:Woodwork」「KEF 音と光に浸る空間の祭典」「&T × 大竹寛子  Flow and Movement」「Takramのプロダクトデザインとその裏側」など、多種多様なイベントが目白押しだ。

会期:2024年10月18日~10月27日
会場:表参道・外苑前・原宿・渋谷・六本木・広尾・銀座・東京駅周辺
展示数:117 (96会場) 

「T3 PHOTO ASIA」(東京ミッドタウン八重洲)

 アートフォト専門のアートフェア「T3 PHOTO ASIA」が初開催。「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO」とともに10月18日〜21日(18日はプレビュー)に東京ミッドタウン八重洲で開催される。

 今年で6回目を迎える写真祭「T3」は、「フェスティバル」「フェア」「育成事業」からなるアジアの写真文化を発展させる包括的な写真プロジェクト。今年は100名以上の作家が参加し、東京・八重洲、日本橋、京橋エリアで国際的なアートフォト作品に出会える写真祭「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO」を開催する。

 加えて、本年はアートフォトを実際に見て購入することができるアートフェア「T3 PHOTO ASIA」が初開催。国際的に活躍する14のギャラリーが一堂に会し、厳選した作品を展示販売する。

会期:2024年10月18日〜21日(18日はプレビュー)
会場:東京ミッドタウン八重洲4、5階
住所:東京都中央区八重洲2-2-1
開館時間:11:00〜19:00(21日〜17:00)
料金:VIP PASS(10月18日プレビュー日+一般会期で何度でも入場可能)7000円 / 一般 前売 1500円、当日 2000円 / 学生 前売 1000円、当日 1500円

DEFOAMAT(代官山エリア)

ruangrupa作品イメージ画像

 代官山T-SITE、代官山Forestgate、UNIT/SALOON、晴れたら空に豆まいての4拠点で「DEFOAMAT」が開催される。

 本イベントは、「アジアの文化的連帯のなかで、新しい社会のありかたを模索する -alternative asian life- 」をコンセプトとしたアートと音楽の都市型フェスティバル。ドクメンタ15 (2022)の芸術監督を務めたインドネシアの ruangrupa(ルアンルパ)が、東京をテーマとするリサーチプロジェクトを発表。また、日本を代表するアートコレクティブSIDE COREも新たなプロジェクトを発表する。

会期:2024年10月19日~10月20日
会場:代官山T-SITE、代官山Forestgate、UNIT/SALOON、晴れたら空に豆まいて

オタケ・インパクト―越堂・竹坡・国観、尾竹三兄弟の日本画アナキズム―(泉屋博古館東京

尾竹竹坡 大漁図(漁に行け)(部分) 大正9年 個人蔵 【前期展示】

 泉屋博古館東京で、特別展「オタケ・インパクト―越堂・竹坡・国観、尾竹三兄弟の日本画アナキズム―」が開催される。

 新潟県に生まれた尾竹越堂(1868~1931)、竹坡(1878~1936)、国観(1880~1945)の三兄弟は、明治から昭和にかけて文部省美術展覧会をはじめとした様々な展覧会で成功を収め、まさに「展覧会芸術の申し子」として活躍した。しかしながら、竹坡を筆頭に実験的ともいえるラディカルな表現を試み、またときにエキセントリックな生き方を貫いた尾竹三兄弟は毀誉褒貶にさらされ、美術史の語りから零れ落ちていった。

 本展は、東京で尾竹三兄弟を紹介する初めての展覧会。彼らの重要作をはじめ、多数の新出作品や未公開資料から、知られざる尾竹三兄弟の人と作品を紹介。そして展覧会制度のなかで躍動した三兄弟の作品を一堂に会すことで「展覧会芸術」の到達点のひとつを提示する。

会期:[前期]2024年10月19日~11月17日、[後期]2024年11月19日~12月15日
会場:泉屋博古館東京(旧・泉屋博古館分館)
住所:東京都港区六本木1-5-1
開館時間:11:00~18:00(金〜19:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月、11月5日(11月4日は開館)
料金:一般 1200円 / 高大生 800円 / 中学生以下無料

「Everyday Enchantment 日常の再魔術化」(シャネル・ネクサス・ホール

 シャネル・ネクサス・ホールで、長谷川祐子(金沢21世紀美術館館長、東京藝術大学名誉教授)による次世代キュレーターを育成する「長谷川Lab」とのコラボレーション企画シリーズ「Everyday Enchantment 日常の再魔術化」が開催される。

 本展では、「長谷川Lab」の佳山哲巳とフィン・ライヤンがキュレーションを担当し。フランス、日本、アメリカを拠点に活動するビアンカ・ボンディ、小林椋、丹羽海子の3作家を紹介。会場では、鑑賞者が日常のなかに隠された魔術を再発見するような体験が創出される。

会期:2024年10月19日〜12月8日
会場:シャネル・ネクサス・ホール
住所:東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4階
開館時間:11:00〜19:00 ※入場は18:30まで
休館日:無休
料金:無料

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