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「私は死を乗り越えて生きてゆきたい」(草間彌生美術館)開幕レポート。草間の死生観はいかに作品に表れたか

東京・弁天町の草間彌生美術館で、草間彌生の死生観の表出と変遷を取り上げる展覧会「私は死を乗り越えて生きてゆきたい」が開幕した。会期は2025年3月9日まで。

文・撮影=安原真広(ウェブ版「美術手帖」副編集長)

展示風景より、《再生の瞬間》(2024)、奥が《命の炎―杜甫に捧ぐ》(個人蔵、1988)©YAYOI KUSAMA

 東京・弁天町の草間彌生美術館で、草間彌生の死生観の表出と変遷を取り上げる展覧会「私は死を乗り越えて生きてゆきたい」が開幕した。会期は2025年3月9日まで。

 1929年生まれの草間は、複雑な家庭環境下で太平洋戦争を体験し、トラウマや神経症による自殺未遂衝動を創作によって乗り越えてきた。そんな草間にとって生と死は、自身の創作における差し迫った問題でもあった。本展は1940年代の絵画から最新作までを展示することで、草間がいかに生と死に向き合ってきたかを探る。

展示風景より、手前が80年代に制作された立体作品、奥が1975年に制作されたコラージュ ©YAYOI KUSAMA

 1階のエントランスには立体作品《生命(REPETITIVE VISION)》(1998)と、アクリル絵画のシリーズ「わが永遠の魂」より《永遠に生きていきたい》(2017)と《自殺の儀式》(2013)が展示されている。

展示風景より、手前が《生命(REPETITIVE VISION)》(1998)、奥左から《自殺の儀式》(2013)、《永遠に生きていきたい》(2017)©YAYOI KUSAMA

 黒地に黄色の水玉で覆われ、植物のように上空に伸びていく《生命REPETITIVE VISION)》は、草間が60年代に性的な強迫観念を、無数の男根を模した詰め物で表現したソフト・スカルプチュアの延長ともいえる作品だ。しかし、本作からは草間を追い詰めるような強迫性よりも、上方向に進もうとする生命の力強さを感じさせる。また、後方に展示された2点の絵画は、それぞれ生と死という相反する願望が表現されており、つねに双方の意識を持ち合わせながら創作に向かった草間の姿勢を感じさせる。

展示風景より、手前が《生命(REPETITIVE VISION)》(1998)、奥左から《自殺の儀式》(2013)、《永遠に生きていきたい》(2017)©YAYOI KUSAMA

編集部

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