今週末に見たい展覧会ベスト7。木下佳通代、倉俣史朗からマイクスラットまで

今週末までに開幕・閉幕する展覧会から、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「海とつながる。アートをめぐる。―Harmony with Nature―」の会場となる葛西臨海公園。クリスタルビュー

もうすぐ閉幕

「没後30年 木下佳通代」(大阪中之島美術館)

展示風景より

 大阪中之島美術館で、美術家・木下佳通代(1939〜1994)の回顧展「没後30年 木下佳通代」が8月18日まで開催されている。レポート記事はこちら

 本展は国内各地の美術館で所蔵される木下の作品を厳選し、代表作などを一堂に展示する過去最大規模の個展。生前は国内美術館での個展開催が叶わず、現在に至るまで実現しなかったため、本展は国内美術館初の個展となる。初期から晩年までの作品120点以上を紹介し、木下の制作の全容に迫る展覧会だ。

 展覧会は3章構成。初期の活動から、写真というメディアを通じて「対象の存在を認識する」ということを問いかける作品、そして油彩によって「存在」を問う作品などを見ることができる。

会期:2024年5月25日~8月18日
会場:大阪中之島美術館
住所:大阪府大阪市北区中之島4-3-1
電話番号:06-4301-7285 
開館時間:10:00~17:00 ※入場は閉館の30分前まで
料金:一般 1600円 / 高大生 1000円 / 中学生以下 無料

「倉俣史朗のデザイン ー記憶のなかの小宇宙」(京都国立近代美術館)

世田谷美術館会場の展示風景より

 東京の世田谷美術館と富山の富山県美術館を巡回した「倉俣史朗のデザイン ー記憶のなかの小宇宙」が、8月18日に京都会場・京都国立近代美術館で幕を閉じる。

 京都では25年ぶりの回顧展となる本展では、倉俣自身の言葉をたどりながら、創作の源泉ともいえるイメージスケッチや夢日記などの資料とともに、彼のデザインが語りかけるメッセージに耳を傾ける。

 会場は、倉俣が当初勤めていた株式会社三愛所属時代の仕事を紹介するプロローグに始まり、テーマごとに仕事を取り上げる4つのパート、そして倉俣による未公開のスケッチなどを紹介するエピローグで構成されている。没後30年を迎えた倉俣によるデザインの数々が一堂に集まる、大変貴重な機会だ。

会期:2024年6月11日~8月18日
会場:京都国立近代美術館
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町
電話番号:075-761-4111
開館時間:10:00~18:00(金~20:00)※入館は閉館の30分前まで 
料金:一般 1700円 / 大学生 1100円 / 高校生 600円 / 中学生以下、心身に障がいのある方と付添者1名 無料

「おとなとこどもの自由研究 工芸の光と影展」(国立工芸館)

展示風景より

 石川・金沢の国立工芸館で、「おとなとこどもの自由研究 工芸の光と影展」も8月18日に閉幕する。レポート記事はこちら

 本展は工芸作品における光と影の関係に注目するもの。会場では、そのような見方を促すために、3つの展示室ごとにテーマを設けている。

 展示室1「光?影?/光と影でモノがたる」では、ライティングにより浮かびあがる、作品の表層や構造における光と影の様子に着目する。展示室2「光と影でカタチつくる」では、様々な作品ごとに見られる光と影のニュアンスに、さらに一歩踏み込むものとなる。展示室3では「メタル&ガラス」に注目し、金属とガラスに見られる光の吸収と透過、反射や散乱、それによる影に目を向けるものだ。

 また、本展では大人と子供がそれぞれの鑑賞を楽しみ、深めるためのプログラムも提案。夏休みの自由研究の一環に、親子で訪れるのもおすすめだ。

会期:2024年6月18日~8月18日
会場:国立工芸館
住所:石川県金沢市出羽町3-2
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル) 
開館時間:9:30~17:30 ※入館は閉館の30分前まで 
料金:一般 300円 / 大学生 150円 / 高校生以下および18歳未満、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方と付添者1名 無料

スキル・アカデミー:夏のオープンクラス 「土に学ぶ、五感で考える」成果発表 "Earth-Life Learning"(銀座メゾンエルメス フォーラム)

展示風景 Installation view © Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d'entreprise Hermès

 銀座メゾンエルメス フォーラム8・9階で、スキル・アカデミー:夏のオープンクラス「土に学ぶ、五感で考える」成果発表 "Earth-Life Learning" が8月18日まで開催されている。

 エルメス財団は、自然素材にまつわるスキル(職人技術や手わざ)の伝承、拡張、知識の共有を目指すプログラム「スキル・アカデミー」の一環として、2024年3月に、中高生を対象にした春のワークショップ「土に学ぶ、五感で考える」を開催した。 

 その成果発表となる本企画「夏のオープンクラス」は、春に得た様々な土との出会いを入口に、土にまつわる学際的なスキルを広く共有すると同時に、土を廻って交差する時間軸について継続的に学び、考える場となることを目指している。土について、五感で体験し、味わう、会期を通して変化する学びの場を来場者とともにつくる。

会期:2024年7月13日~8月18日
会場:銀座メゾンエルメス フォーラム
住所:東京都中央区銀座5-4-1
電話番号:03-3569-3300 
開館時間:11:00~19:00 ※入場は閉館の30分前まで
料金:無料

「海とつながる。アートをめぐる。―Harmony with Nature―」(葛西臨海水族園、葛西臨海公園)

展示風景より、蜷川実花 with EiM《Garden of Sky(空の庭園)》

 葛西臨海水族園と葛西臨海公園を会場に、アートイベント「海とつながる。アートをめぐる。―Harmony with Nature―」が8月18日まで行われている。レポート記事はこちら

 谷口吉生の設計による葛西臨海水族園では、「海とつながる」をテーマとして、水族園を象徴するガラスドームをミストが包み込み、海とつながる世界を生み出す演出を実施する。いっぽうの葛西臨海公園では、「アートをめぐる」をテーマとして、蜷川実花 with EiMの作品《Garden of Sky(空の庭園)》が東京湾を見渡せる展望レストハウスであるクリスタルビューを彩る。

 また落合陽一平子雄一、河瀨直美は、4万本の向日葵が咲くひまわり畑でも作品を展開している。

会期:2024年8月2日〜18日
会場:葛西臨海水族園(葛西臨海公園内)および葛西臨海公園
開館時間:葛西臨海水族園 9:30〜17:00(最終入園16:00)、葛西臨海公園 9:00〜20:30
料金:入場無料・予約不要 ※葛西臨海水族園のみ入園料が必要(一般 700円/ 65歳以上 350円 / 中学生 250円)

今週開幕

山崎晴太郎「越境するアート、横断するデザイン。」(スパイラルガーデン)

メインヴィジュアル

 東京・南青山のスパイラルガーデンで、山崎晴太郎の個展「越境するアート、横断するデザイン。」が8月17日にスタートする。

 山崎は、ブランディングを中心に、グラフィック、WEB・空間・プロダクトなどのアートディレクションを手がけている。2018年よりデザインの仕事では表現できないものを表現するために現代アート作品の制作を開始。以来、彫刻、インスタレーション、映像、絵画、メディアアートの分野で現代美術作品を制作している。 

 本展では、クライアントワークとしてのデザインから海外で発表し続けているコンテンポラリーアート、文化人としての活動や、初公開の新作までを網羅的に展示。また、広くクリエイションの魅力を伝えるため、山崎が言葉というものに改めて向きあう展示にもなっている。

会期:2024年8月17日~9月1日
会場:スパイラルガーデン
住所:東京都港区南青山5-6-23
電話番号:03-3498-1171
開館時間:11:00~19:00
料金:無料

「MUSIC LOVES ART 2024 - MICUSRAT (マイクスラット) - 」(大阪市、吹田市、千葉市)

メインヴィジュアル

 文化庁の主催で、音楽とアートの融合を図るイベント「MUSIC LOVES ART 2024 - MICUSRAT (マイクスラット) -」が、8月12日〜25日の14日間にわたり千葉市幕張新都心、大阪市内中心部・吹田市(万博記念公園および周辺)で開催されている。

 千葉のSUMMER SONIC幕張会場や会場周辺、幕張ベイタウンでは、COIN PARKING DELIVERY、witness、HAMADARAKA(EruArizono/EmuArizono)、SILVER SATAN(ART TRUCK)など、若手現代アーティストやアートプロジェクトの作品が展開。いっぽう、SUMMER SONICの大阪会場となる万博記念公園内および周辺では、久保寛子、GOMA、奥中章人といった3名の若手アーティストによる大型のアート作品の野外展示が行われる。

会期:2024年8月12日〜25日
会場:ウェブサイトを参照

編集部

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