今年3月に惜しまれつつこの世を去った坂本龍一(1952〜2023)。その没後初となる大規模個展「SOUND AND TIME」が、中国成都市(四川省)に新しくオープンするM WOODS(People’s Park), Chengdu|成都木木美術館(人民公園館)の開館記念展として行われる。会期は7月30日〜2024年1月5日。
坂本は78年に『千のナイフ』でソロデビュー。同年「YMO」を結成し、散開後も多方面で活躍を見せたことは周知のことだ。『戦場のメリークリスマス』(1983)の音楽では英国アカデミー賞を、映画『ラストエンペラー』の音楽ではアカデミーオリジナル音楽作曲賞、グラミー賞などを受賞するなど、世界的にも高く評価されてきた。
坂本はアートの分野でも積極的な活動を見せており、2013年には山口情報芸術センター(YCAM)のアーティス・ティックディレクターを、また翌14年の「札幌国際芸術祭」ではゲスト・ディレクターを務めた経歴を持つ。piknic(2018、ソウル)、M WOODS(2021、北京)では大規模なインスタレーション展示も行っている。
本展は、2年前に北京のM WOODS HUTONG | 木木艺术社区で開催された、坂本のアート作品を初めて本格的に紹介した展覧会「坂本龍一:观音听时|Ryuichi Sakamoto: seeing sound, hearing time」を発展的に継承するものであり、坂本のアート活動を包括的に振り返る最大規模の個展。キュレーターは難波祐子とVictor Wang(王宗孚)。
50年以上に渡る活動のなかで、坂本は常に様々な手法やメディアの境界を果敢に超えながら、クリエイティブな実践とアートの可能性に対する私たちの常識を覆して新しい道を示してきた。本展は年代順による作品紹介ではなく、それぞれの作品の持つ異なる時間と空間を紡ぎ合わせることで、展覧会という形のひとつの多様なネットワークをつくりだすという。
展覧会は、高谷史郎、真鍋大度、Zakkubalan、アピチャッポン・ウィーラセタクンといったアーティストたちと共同で制作した8つの大規模なサウンド・インスタレーション作品で構成され、屋外スペースでは、本展のために新たに制作されたサイト・スペシフィックな作品が初公開される。日本からも足を運ぶ価値がある展示となるだろう。