聖林寺十一面観音から草間彌生まで、今週末に見たい展覧会ベスト3

今週スタートした展覧会のなかから、とくに注目したい3つをピックアップしてお届けする。なお、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

草間彌生「私のかいたことばに あなたのナミダをながしてほしい」の展示風景より (C) YAYOI KUSAMA

東京では初公開。「国宝 聖林寺十一面観音―三輪山信仰のみほとけ」(東京国立博物館

展示風景より、国宝《十一面観音菩薩立像》(部分、奈良時代・8世紀、聖林寺蔵) 

 奈良・三輪山ゆかりの《国宝 聖林寺十一面観音》とともに、関連する仏像や禁足地の出土品などを紹介する展覧会「国宝 聖林寺十一面観音―三輪山信仰のみほとけ」が、東京国立博物館で6月22日に開幕した(9月12日まで)。

 仏教伝来以前の日本では、神は山や滝、岩、樹木に宿ると信じられ、建築や神の像はつくらず自然のままを崇拝していた。こうした信仰のかたちが続いているのが、三輪山をご神体とする大神(おおみわ)神社。奈良時代になるとここ(鎌倉時代以降は大御輪寺)に、本展の目玉となる《国宝 十一面観音菩薩立像》《国宝 地蔵菩薩立像》などの仏像が安置された。

 《国宝 十一面観音菩薩立像》は、今回はじめて奈良の外で展示。その名の通り、すべての人々を救済するようにあらゆる方向を見渡す11の顔を頭上に持ち、その優れた作風から、東大寺で仏像制作に携わった工房の手によるものだとされている。また会場では、三輪山の信仰や祭祀をいまに伝える品々も紹介。その長い歴史と土地の文化を感じることができるだろう。

会期:2021年6月22日~9月12日
会場:東京国立博物館
住所:東京都台東区上野公園13-9
電話番号:050-5541-8600 
開館時間:9:30~17:00
休館日:月(8月9日は開館)
料金:一般 1400円 / 大学生 700円 / 高校生 400円
※事前予約制

「死」を思う絵画。「私のかいたことばに あなたのナミダをながしてほしい」(オオタファインアーツ

展示風景より (C) YAYOI KUSAMA

 東京・六本木のオオタファインアーツでは、草間彌生の「わが永遠の魂」シリーズから新作・近作などを紹介する展覧会「私のかいたことばに あなたのナミダをながしてほしい」が6月22日にスタート(7月31日まで)。

「わが永遠の魂」は、草間が2009年から制作を続けてきたシリーズ。18年頃からモノクロームの作品にも精力的に取り組んできたが、コロナ禍で草間は再び色彩の世界に戻ったという。すでに800点以上が制作されているなか、今回は今年の最新作を含めて直近の3年に制作された33点が並ぶ。また、床にはインスタレーション作品《雲》(2019)も展示されている。

 展示作品の多くは、草間が「死」を考えながらつくったものだという。いまなお精力的に制作を続けるその思いや情熱を、ぜひ本展で感じてほしい。

会期:2021年6月22日~7月31日
会場:オオタファインアーツ
住所:東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル3F
電話番号:03-6447-1123
開館時間:12:00~18:00
休廊日:日、月、祝
料金:無料
※完全予約制 

フランス近代風景画の変遷。「風景画のはじまり コローから印象派へ」(SOMPO美術館

展示風景より、左はクロード・モネ《ベリールの岩礁》(1886)

 19世紀の風景画を数多く所蔵するフランス・シャンパーニュ地方のランス美術館。同館のコレクションから約80点を選りすぐり、フランスにおける近代風景画の変遷をたどる展覧会「風景画のはじまり コローから印象派へ」が、東京・新宿のSOMPO美術館で6月25日に開幕した(9月12日まで)。

 本展では、風景画の先駆者たちからコロー、バルビゾン派、ブーダン、印象派のモネ、ルノワール、ピサロまでを5章構成で紹介。とくに、旅をしながら戸外制作を行った最初の画家のひとりであるコロー、またコローに「空の王者」と絶賛され、海で船、港などの風景を描き独自の表現を探求したブーダンらに焦点を当てる。

 それまでの様式から離れ、自然に対するそれぞれの眼差しからつくり上げられた19世紀フランス「風景画」の変遷を楽しみたい。

会期:2021年6月25日~9月12日
会場:SOMPO美術館
住所:東京都新宿区西新宿1-26-1
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月(8月9日は開館)
料金:一般 1500円 / 大学生 1100円 / 小中高生無料
※日時指定予約優先

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