既存の意味を疑い、遊ぶようにつくられた作品群。斉藤思帆と谷本真理による2人展「一方そのころ meanwhile」をチェック

版画の手法をベースとしたドローイングを手がける斉藤思帆と、陶土を用いて偶然の変形を作品に取り入れる谷本真理の2人による展覧会「一方そのころ meanwhile」が、東京・駒込のKAYOKOYUKIで開催される。会期は4月20日~5月19日。

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 斉藤思帆と谷本真理による2人展「一方そのころ meanwhile」が、駒込のKAYOKOYUKIで開催される。

 斉藤は1988年生まれ、2014年に武蔵野美術大学大学院を修了。これまで版画の手法をベースに、SNS上の画像や映画、雑誌のスナップなど様々なイメージをモチーフとしたドローイング作品を手がけてきた。主な展覧会に「winter show」(KAYOKOYUKI、2017)、「Border」(アーツ千代田 3331、2015)などがある。

 画面を複数の紙に分割して描くことも多いという斉藤。そこには分断とディティールへの集中が共存し、曖昧さや儚さ、違和感が漂う。イメージに含まれるはずの意味や価値がはぎ取られ、名前が付与される以前の「なにか」が提示されているようでもある。

斉藤思帆 私はこの周りを歩こう 2018

 いっぽう谷本は1986年生まれ、2012年に京都市立芸術大学大学院を修了。自らが考案した遊びやルールを用いて、粘土や木材、日用品を組み合わせたインスタレーション作品を展開してきた。18年には「ももこさんの壺」(ホホホ座ギャラリー)、「裏切られたシーン」(clinic)などの個展を開催。

 谷本はこれまで、自身の感覚や記憶、あるいはコントロールが及ばない偶然性によって、モノと自分自身を解放しようとしてきた。近年は素材として陶土を選び、通常では失敗とみなされる焼成時のゆがみや割れ、釉薬の流れ落ちる特性など、自分の意思とは異なる力による変形を積極的に作品に取り入れている。

谷本真理 つぶれ壺(草と熊) 2019

 日々知らず知らずのうちに従っている意味やルールが、本当に不変/普遍なのかを問う本展。2人の作品に示されるわずかな違和感は、幼い頃の「遊び」のなかで感じたような、新鮮な驚きと発見を呼び覚ましてくれることだろう。

編集部

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