
第116回
出現と消滅をめぐる循環。 椹木野衣が見た、 「Super Circulation/超循環」展
美術家・建築家の秋山佑太、若手作家ユニット・カタルシスの岸辺による企画展「Super Circulation/超循環」が神宮前の新ギャラリー「EUKARYOTE(ユーカリオ)」にて開催された。「循環」をテーマにした本展を、椹木野衣がレビューする。

第116回
美術家・建築家の秋山佑太、若手作家ユニット・カタルシスの岸辺による企画展「Super Circulation/超循環」が神宮前の新ギャラリー「EUKARYOTE(ユーカリオ)」にて開催された。「循環」をテーマにした本展を、椹木野衣がレビューする。

絵具を⽷のように垂らして重ね、ときにはそれらを⽣乾きのうちに吹き⾶ばす手法によって、緻密でしなやかな佇まいを持つ絵画を手がけてきた髙畠依子。これまでの手法に加え、水や重力の働きといった偶然性を取り⼊れた新作を発表した髙畠の個展を、美術批評家の沢山遼がレビューする。

戦前から戦後にかけての美術動向に大きな影響を与えた阿部展也(あべ・のぶや、1913-71)の大規模な回顧展が、広島市現代美術館で開催されている。戦前の前衛写真の運動において重要な役割を果たしたほか、シュルレアリスム、アンフォルメル、幾何学的抽象など、時代を追うごとに画風の変転を遂げた阿部。その歩みを総覧する本展に、画家の諏訪敦が迫る。

江戸時代中期、与謝蕪村とともに南画を大成させた池大雅(いけの・たいが)。京都に生まれ、日本各地を訪ね歩いた大雅の、初期から晩年にいたる代表作を一堂に集めた本展は、じつに85年ぶりの大回顧展だ。豊田市美術館学芸員の鈴木俊晴が、その今日的意義を問う。

ベルリンを拠点に活動するオーディオビジュアル・アーティスト、黒川良一。2010年アルスエレクトロニカにてデジタル音楽 & サウンドアート部門の大賞を受賞するなど、海外を中心に映像と音を用いたインスタレーション作品を発表してきた。日本では初となった黒川の個展を、サウンドアート研究の金子智太郎がレビューする。

同時期に阪神間に生まれ、画家として活躍した小磯良平と吉原治良。人物画を得意とし、名実ともに日本を代表する画家となった小磯と、戦後日本の前衛美術を牽引した具体美術協会の主宰として、数多くの抽象絵画を手がけた吉原。対称的なふたりの画業を振り返る展覧会に、インディペンデント・キュレーターの長谷川新が迫る。

バーナーで焦がした巨大な杉板と、木炭でモチーフのかたちを取りそれをうろこ状に線刻するという独自の手法で大作を生み出してきた岡村桂三郎。この岡村の新作を含む作品群を紹介する美術館個展「岡村桂三郎展−異境へ」を、太田市美術館・図書館学芸員の小金沢智がレビューする。

山口情報芸術センター[YCAM]が、映画監督の三宅唱との共同制作によるインスタレーション《ワールドツアー》を発表する展覧会を開催中。三宅やYCAMのスタッフらがスマートフォンで撮影した日常の映像をもとにした本作について、アニメーション評論家の土居伸彰が論じる。

現代美術のキュレーターを主人公にした映画『ザ・スクエア 思いやりの聖域』が4月28日より公開されている。本作は、美術館を舞台に、現代美術あるいは人間の本質に迫る映画として話題を集め、第70回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞。この映画を、東京都現代美術館学芸員として数々の展覧会を手がけてきた藪前知子がレビューする。

印刷物やウェブサイト上の写真にわずかに写り込んだ「正体不明の何か」に目を向け、調査することで「写されたもの」の認識を問う澤田華。ある本に掲載されていた一人のコメディアンの写真を扱う最新作を、愛知県美術館学芸員の副田一穂が考察する。

「アンディ・ホープ1930」という名前を活動初期から使い続け、2010年には実際に改名まで行ったアンディ・ホープ1930。その日本初となる個展を、国立西洋美術館研究員の新藤淳がレビューする。

身体性や女性性をテーマに映像インスタレーションなどを手がける稲垣智子の個展「デカルコマニー/Decalcomanie」が、The Third Gallery Aya(大阪)で開催された。作家自身の過去作品を引用しながら構成された本展を、関西を拠点とし、稲垣の展覧会で企画を担当したこともある若手美術批評家、高嶋慈が論じる。

大阪・西成区に古くからある町工場や商店などをリサーチし、約2年にわたるプロジェクトを行った青田真也の個展「よりそうかたち」。ものづくりに携わる人々や、その作業の痕跡、また使われる道具などを通して、作家は「もの」の価値をどのようにとらえなおし、社会へと接続するのか。

穏やかな色彩が折り重なる絵画。あるいは、食パンをキャンバスに、バターや食材が抽象的な画面をつくる作品など、多彩な手法を通して絵画の可能性を探求してきた益永梢子。作家が近年取り組む、アクリルボックスとキャンバスからなる作品を中心に構成された展覧会を美術批評家・沢山遼がレビューする。

東京国立近代美術館企画課長の蔵屋美香が通年を通してキュレーターを務める、「絵と、」シリーズ。「絵と」現実を、絵画ならではの方法で切り結ぼうとしている作家を選出する本シリーズの初回となる「絵と、 vol.1 五月女哲平」が東京・東神田のgallery αMで開催中だ。この展覧会を、批評家の菅原伸也が論じる。

迫真性にこだわらない伝統的な日本画。その手法は江戸時代に円山応挙らによって打ち破られる。応挙らが挑んだ、目に映るものを冷静に分析して描く「リアル」な江戸絵画に焦点を当てた展覧会「リアル 最大の奇抜」展が東京・府中市美術館で開催中だ。本展に日本美術を専門とする太田市美術館・図書館学芸員の小金沢智が迫る。

鮮やかな色彩の空間に、様々な形や色の日用品やオブジェ、不可解な映像、ポスターの数々。名古屋で開催中の、池崎拓哉+玉山拓郎の二人展を、豊田市美術館学芸員の鈴木俊晴がレビュー。

戦前・戦後の池袋と、戦後の沖縄・首里における画家たちのコミュニティを切り口に、近代洋画を紹介する展覧会が板橋区立美術館で開催された。本展を、自らも洋画をモチーフとした絵画作品を手がける、美術予備校・パープルーム主宰の梅津庸一が論じる。

1975年、東京画廊で開催された「韓国・五人の作家 五つのヒンセク<白>」展は、韓国の現代美術を日本で初めて紹介した展覧会だ。参加した5名の作家は、現在国際的に評価を受ける「単色画」の源流として知られる。この歴史的展覧会の再展示となる本展は、43年の時を経て、どのような変化を示すのか。

ホノルル美術館で「平和の惨禍」展と題された展覧会が開催された。戦後日本マンガにおいて「劇画」というジャンルで活動したマンガ家、つげ忠男と勝又進に注目した本展を長谷川新がレビューする。