
歴史との関わりをどう展示するか。ダニエル・アビー評「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」展
東京都現代美術館で開催され、話題を呼んだアートディレクター・デザイナーの石岡瑛子(1938〜2012)の個展。本展について、写真研究者のダニエル・アビーが「形(form)」をキーワードに論じる。

東京都現代美術館で開催され、話題を呼んだアートディレクター・デザイナーの石岡瑛子(1938〜2012)の個展。本展について、写真研究者のダニエル・アビーが「形(form)」をキーワードに論じる。

多摩美術大学美術学部情報デザイン学科メディア芸術コースの卒業制作展として、BankART(横浜)にて「Sweep-Space-Surface」展が開催された。作品展示以外にも多くのプログラムが組まれた本展のあり方について、インディペンデントキュレーターの長谷川新がレビューする。

国際的に活躍する1組のアーティストを招き、地域性を活かしたアートプロジェクトを実現する個展形式の芸術祭「in BEPPU」が2020年12月から3ヶ月間開催された。5回目となる本年の招聘作家は梅田哲也。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、集客型の大型芸術祭が中止するなか、本展はポストコロナにおける新たな芸術祭モデルとなり得たか、また、地域芸術祭としての批評性はいかなるものだったのか。高嶋慈がレビューする。

コロナ禍でのオリンピック開催とさらなる都市開発に揺れる東京。アーティストの光岡幸一は、原宿・BLOCK HOUSEでの個展で、暗渠化された渋谷の川を滝としてギャラリーに取り込み、会期中、その水の飛沫で写真作品やオブジェに変化を与えつづけた。その光景から浮かび上がる人間の営みや都市の機微とはいかなるものか? キュレーターの檜山真有が論じる。

作品を発表し始めた1969年から現在まで、多様な形態の作品を通して、重力、引力といった見えない力の法則から世界の構造・存在・関係を一貫して探究してきた植松奎二。芦屋市立美術博物館での本個展では、1年をかけて同館の空間と構造を読み解き、ここでしか生み出せない作品を発表した。この世界を新たに認識する方法を探る本展について、滋賀県立美術館学芸員の荒井保洋が論じる。

KAAT神奈川芸術劇場の空間をインスタレーションへと変貌させた冨安由真の「漂泊する幻影」展と、「ヘルマウス」と呼ばれる悪魔から着想を得た新作を発表した青木美紅の「1996120519691206」展。ふたつの個展について、亡霊や幻影の気配を呼び込む装置として位置づけながら、椹木野衣が論じる。

オブジェや平面、既製品を組み合わせ、ユーモアや皮肉を込めたインスタレーションを手がけるカスパー・ミュラーと、絵画、オブジェクト、そして画中にあるものに等価な関係を構築しようとする臧坤坤(ツァン・クンクン)。現代のポップ・アートをめぐる二元論と、同時期にチューリヒで開催された両者の個展に見られる二重性について、清水穣が論じる。

名古屋市美術館にて、2月〜3月に開催された本展では、1920年代に日本のピクトリアリズムをけん引した〈愛友写真倶楽部〉や写真家・東松照明を生んだ都市、名古屋の写真表現の展開に焦点をあてた。同地名古屋に根ざす美術館で、その物語はどのようにつむがれたのか? 東京ステーションギャラリー学芸員の若山満大がレビューする。

明治から昭和にかけて風景画を中心に活躍した吉田博。その木版画に焦点を当て、200点近い作品やスケッチともにその技術や主題の変遷を紹介する大規模な個展が東京都美術館で開催された「没後70年 吉田博展」だ。本展を評論家の塚田優が論じる。

美術手帖では、批評家や学芸員らによる展覧会レビューを毎月掲載。そのなかから、4月に公開された全7本をお届けする。各レビューの詳細はリンクから全文をチェックしてほしい。

6人組のアーティスト集団・オル太による展覧会「超衆芸術スタンドプレー 夜明けから夜明けまで」が、東京・墨田区のアートプロジェクト「ファンタジア!ファンタジア!」のプログラムとして開催された。本展では、リサーチをもとに構成したストーリーを再演する映像を軸にインスタレーションを展示。「演じる」ことで地域の歴史と人々の営みを掘り起こし、新たに物語を紡いでいく実践の方法について、キュレーターの北出智恵子が論じる。

アートラボあいちにて、キュレーター・西田雅希、アーティスト・黒川岳によるプロジェクトが開催された。「とこなめ陶の森資料館」(愛知県常滑市)所蔵の大甕と土管によるサウンド・インスタレーションを展開。能勢陽子がレビューする。

企業や海外の大学とも協働し「表現としてのゲーム」が研究・制作される東京藝術大学大学院映像研究科ゲームコースによる、成果展示が開催された。VRを用いた実験的な作品などが発表された本展を、ヴィデオゲームについて執筆や批評を手掛ける葛西祝がレビューする。

「聴く」という行為を通して、世界と関わる実践を芸術作品によって紹介する展覧会「聴く─共鳴する世界」がアーツ前橋にて開催された。同時開催された「場所の記憶 想起する力」展や過去の同館の取り組みなどとも反響しあう本展の試みを、キュレーターの飯岡陸がレビューする。

具体美術協会での活動でも知られる美術家の今井祝雄がアート・ディレクションを務める「文字模似言葉(もじもじことのは)」展が、ボーダレス・アートミュージアムNO-MA(滋賀)で開催中だ。現代の情報社会において、文字や言葉のあり様を再検討する本展について、滋賀県立美術館学芸員の荒井保洋が論じる。

福岡の美術の系譜のなかで特異な存在感を放つ前衛美術グループ「ソシエテ・イルフ」。その約30年ぶりとなる回顧展として、福岡市美術館では、イルフの視覚表現の広がりを感じさせる写真作品や絵画、そして各メンバーが作品を寄せたカメラ雑誌などの関連資料が一堂に会した。「イルフ」は何を目指して前進し、歩みを止めたのか。本展をインディペンデントキュレーターの長谷川新がレビューする。

美術手帖では、批評家や学芸員らによる展覧会レビューを毎月掲載。そのなかから、3月に公開された全16本をお届けする。各レビューの詳細はリンクから全文をチェックしてほしい。

東京・馬喰横山のgallery αMにて、インディペンデント・キュレーターの長谷川新をゲストキュレーターに迎えたプロジェクト「約束の凝集」の第3回として、黑田菜月の個展「写真が始まる」が開催中だ。写真を媒介として展開される2つの映像作品が発表された本展を、文化研究者の山本浩貴がレビューする。

北海道オホーツク海など、自然環境のフィールドレコーディングを中心とする作品制作を行う上村洋一。キュラトリアル実践を通して近年の新しいエコロジー観と現代美術の関係性を研究し、作品制作も行う黒沢聖覇。トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)の企画公募プログラム「OPEN SITE」では、新たな環境観を志向する2人の共同制作プロジェクトとして「冷たき熱帯、熱き流氷」展を開催した。上村は知床半島、黒沢はアマゾン熱帯雨林と、対照的な極点へ赴いた経験から生み出された本展について、自身もアマゾン熱帯雨林での調査経験を持つ映像作家、文化人類学者の太田光海が論じる。

人間の身体や知覚と時間の関係について考察する作品を制作する大和田俊。その個展「破裂 OK ひろがり」が、栃木県の小山市立車屋美術館で開催された。体内の破裂音が響く展示空間や、風景のなかに突如現れる「ポンプ小屋」で展示された作品《Unearth》において、音の「必然性」はどのように提示されたのか。現代フランス哲学、 芸術学、映像論を専門とする福尾匠がレビューする。