第3章「葛飾北斎《浪千鳥》」
第3章「葛飾北斎《浪千鳥》」では、北斎が70代で手がけた春画の傑作《浪千鳥》全12図が一挙に公開されている。江戸春画の最高峰と称される本作は、輪郭線のみを木版で刷り、そこに手作業で濃密な彩色を施している。背景には雲母(うんも)の粉を用いた「雲母摺り」で光沢を加えた贅沢な作風が特徴だ。画面いっぱいに描かれた身体と、北斎ならではの大胆な構図が印象的だ。

近代以降の一時期には規制の対象となった春画だが、描かれた当時は「笑い絵」とも呼ばれ、ユーモアや滑稽さ、そして高い絵画技術を楽しむ娯楽として人々のあいだで親しまれていた。幻と称された平安期の肉筆画をはじめ、日本古来の豊かな春画文化の奥行きを、京都で体感できる貴重な機会となっている。



















