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「愛のカタチ ー幻の春画《稚児草紙》公開ー」(福田美術館)開幕レポート。幻の絵巻が初の一般公開へ【2/3ページ】

第2章「幻の春画《稚児草紙》公開」

 第2章「幻の春画《稚児草紙》公開」では、本展の目玉であり、2025年に同館のコレクションに加わった《稚児草紙》(会期中巻き替えあり)が初公開されている。長らく醍醐寺に保管されてきた14世紀初めの作品で、歴史上極めて重要な「幻の絵巻」だ。なお、江戸時代以前の古春画である《小柴垣草紙》《稚児草紙》《袋法師絵巻》は「三大性愛絵巻」と称される。

《稚児草紙》(18〜19世紀)紙本着色(一部)

 《稚児草紙》は、そのなかでも男色の性愛を描いた最古の絵巻である。全5章の物語からなり、会場では詞書の現代語訳が添えられている。男色を主題とした絵巻の制作は非常に珍しいが、誰がどのような経緯で発注したのかはいまだ解明されていない。

 本作は醍醐寺のなかに長らく保管されていたので、写本もほとんどなく、一般公開されることもほぼなかった。当時から見ることができる者もごく一部に限られており、今回こうして一般公開されたことは大変貴重な機会と言えるだろう。

谷文晁《小柴垣草紙》(1828)絹本着色(一部)

 また、嵐山の野宮神社にゆかりのある《小柴垣草紙》は、男女の営みを描いた日本最古の春画のひとつだ。伊勢神宮へ下向する前に身を清めるため嵯峨の野宮神社に滞在していた斎宮・済子女王と、警護の武士・平致光との密通という、当時のスキャンダルを題材としている。計10部ほど写されたと伝えられており、本展では谷文晁が1828年に写した一品が展示されている。

月岡雪鼎《春画》(18世紀)絹本着色(一部)

 そのほか、公家・武家・町人など様々な身分の人々が登場する月岡雪鼎《春画》も初公開された。春画はそのテーマや構図に目を奪われがちだが、着物の裏地の書き込みや髪・手足の精密な表現など、絵師たちの卓越した技術力も見逃せない。

 あわせて鮮やかな色彩にも注目したい。春画は限られた場所でのみ鑑賞されることが多かったため保存状態が良いものが多い。通常、絵巻は巻き直しの摩擦などで色彩が擦れやすいが、本作には当時の鮮明な絵具がそのままに近い状態で残されている。

編集部