「いのちの未来+」(MoN Takanawa: The Museum of Narratives)開幕レポート。アンドロイドを用いて「いのちとは何か」を問いかける【2/3ページ】

ZONE2 50年後の未来

 来場者は専用ヘッドセットを装着し、音声ガイダンスに導かれながらZONE2「50年後の未来」へと足を踏み入れる。ここでは、高度な技術やプロダクトと人間が共生する「50年後の未来」が描かれる。

アバターアンドロイドの「ヤマトロイド」

 展示空間には、大阪・関西万博でも注目を集めたアバターアンドロイド「ヤマトロイド」が登場。約60ヶ所の可動部が生み出す滑らかな所作は、人間とアンドロイドが隣り合わせで暮らす50年後の日常をリアリティをもって体現している。

「ZONE2 50年後の未来」の展示風景

 本セクションの核心は、50年後の未来を生きる祖母と孫のストーリーを体験するプログラムにある。そこでは、人の寿命が尽きる際、「そのまま寿命をまっとうするか」、あるいは「アンドロイドに記憶や思い出を引き継ぐか」という選択を迫られる。アンドロイド化を選べば生命は永遠を得るが、同時に「アンドロイドとなった自分は、果たして『自分』と言えるのか」という新たな問いが浮かび上がる。万博では祖母の決断を想像する体験にとどまっていたが、本展ではこれをさらに深め、鑑賞者一人ひとりに「あなたならどうするか」を主体的に考えさせる構成へと進化している。

4体のアンドロイド。鑑賞者にも質問を投げかける

 会場では、4体のアンドロイドがこの問いを巡って議論を交わしている。その対話の矛先は鑑賞者にも向けられ、「自分はいかにありたいのか」「そもそも自分とは何か」といった自己の本質を揺さぶる体験をもたらす。

 石黒は次のように語る。 「万博から時間が経過した現在も、世界は刻々と変化している。50年先を想定して制作した内容だが、ここで描かれている事象は、わずか5年後の現実かもしれない。『未来はこうなる』と断定するのではなく、『未来はどう変わるのだろうか?』と問いかけ続けることこそが重要」。

 また、劇中で描かれる2人の日常を彩る「未来プロダクト」にも注目したい。これらは「共創プロジェクト2025」に参加した協賛企業7社が、2075年の暮らしを想像して考案したものだ。ライフスタイルに応じて住まいが自在に変幻・拡張する「Adjustension Home」や、体内を巡り健康モニタリングと免疫強化を行うナノロボット「イミュエール」など、実在企業の発想に基づいているからこそ強い現実味を帯びて迫ってくる。

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