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「出光真子 おんなのさくひん──ある映像作家の自伝」(東京都写真美術館)開幕レポート。自己の葛藤に向き合い続けたひとりの映像作家のまなざし【3/3ページ】

同館収蔵後初公開のインスタレーションも

 本展で紹介される5つのインスタレーション作品のうち、《Still Life》(1993〜2000)は同館収蔵後初の公開となる。男女を象徴する2つのオブジェに映像を投影させた本作には、過去作のシーンが複数登場する。自ら剥いだ花びらを、ピンで留め直す動作を反復する映像は、出光が繰り返し扱ってきた自己の矛盾を表現している。音楽は現代音楽家の高橋鮎生が手がけており、空間を立体的に構成する要素となっている。

出光真子《Still Life》(1993〜2000)インスタレーション 東京都写真美術館
出光真子《Real? Motherhood》(2000)インスタレーション 東京都写真美術館

 ほかにも、母性を主題とした《Real? Motherhood》(2000)や、家族と戦争をテーマにした《直前の過去》(2004)など、自身の経験にもとづくインスタレーションが展開されている。

 展示室内の作品に加え、1階ホールでは全40作品を9つのプログラムに分けて上映している。ホールでは時系列順に上映が行われており、出光の創作の軌跡を時代ごとに追うことができる構成だ。全作が映像作品であり、1回の来場ですべてを鑑賞することが困難な場合を考慮し、同館では本展チケットの提示で別日の鑑賞が2割引になる「リピート割」や、夜間特別開館時の割引施策を実施し、複数回の来場を促す工夫を行っている。

 「娘、妻、母」という社会的役割を担いながらも、自己の内面に向き合い続けたひとりの作家のまなざしは、決して過去のものではなく、現代の私たちにとっても地続きの問いとして響く。本展は、30年以上にわたる創作のなかで、出光が提示し続けた問いに向き合う機会となるだろう。

編集部