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ロンドンの新名所。「ギルバート&ジョージ・センター」に見る、歴史と地域とともにあるアートの在り方

イギリスを代表するアーティストデュオ、ギルバート&ジョージが4月1日にロンドンのイーストエンドに「ギルバート&ジョージ・センター」をオープンした。ギャラリーとしての役割に止まらず、ロンドンの歴史やコミュニティとのつながりに重点を置いたスペースとなっている。

文=坂本みゆき

「ギルバート&ジョージ・センター」の中庭のベンチに座るギルバート&ジョージ。左手は映像上演のためのスペースだ courtesy the Gilbert & George Centre

3フロア、3つの巨大な展示スペース

 ギルバート&ジョージほどロンドンと密接な関係を持つ現代アーティストはいないだろう。1967年に当時在籍していた市内のセントマーチンズ・スクール・オブ・アートで出会い、1968年以降、半世紀以上に渡りロンドン東部のイーストエンドを拠点として活動を続けている。ペアルックのような背広に身を包み並んで闊歩する二人の姿は、地元っ子達にとってはおなじみの情景だ。

 彼らがこの度オープンさせた「ギルバート&ジョージ・センター」もイーストエンドに位置している。二人のスタジオと住居があることでも知られるフォーニエイ・ストリートからも目と鼻の距離だ。その目的は自身のアートワークを常設しながらロンドンの文化を担う若手の育成の場をつくり、さらには彼らの信条である「すべての人々のためのアート」を具体化することだという。

 「私たちのアートは作品とそれを観る人々との間に形成されるフレンドシップです。リベラルな考えの内にある偏見を引き出し、偏見のなかにあるリベラルを導き出すのです」とギルバート&ジョージは語る。

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