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「出光真子 おんなのさくひん──ある映像作家の自伝」(東京都写真美術館)開幕レポート。自己の葛藤に向き合い続けたひとりの映像作家のまなざし【2/3ページ】

70年代から着手したビデオ作品

 70年代から着手したビデオ作品も複数紹介されている。73年に初めて制作されたビデオ作品《おんなのさくひん》は、白黒のオープンリール機材を用い、トイレに浮かぶ使用済みのタンポンを撮影したものだ。ビデオはフィルムに比べて情報量が少ないと考えた出光は、抽象的な表現が可能な手法として採用したという。本作は映像作家・出光真子の評価を確立する契機となった。

出光真子《おんなのさくひん》(1973)11分00秒 東京都写真美術館
出光真子《主婦の一日》(1977)9分50秒 東京都写真美術館

 会場入り口付近に展示された《主婦の一日》(1977)は、モニターの入れ子構造を用いる「マコ・スタイル」が採用された代表作だ。出光自身が出演し、主婦の日常が映し出されるが、映像内のブラウン管には巨大な目が映り込み、絶えず主婦(出光)を監視している。この目は自己の内部にあるもうひとつの目を表しており、自身の抱える矛盾に向き合い続けた出光の姿勢を示す。

出光真子《清子の場合》(1989)24分20秒 東京都写真美術館

 80年頃からは、カナダ人のビデオアーティスト、マイケル・ゴールドバーグとの協働がはじまり、シナリオに基づく演出を導入。プロまたはセミプロの役者を起用し、メロドラマ形式を採用した。撮影は出光の指揮のもと、自宅で行われたという。独立した息子に執着する母を描いた《英雄ちゃん、ママよ》(1983)、両親の意向で結婚し育児・家事に追われる画家志望の女性を描いた《清子の場合》(1989)、芸術家カップルの葛藤を描いた《加恵、女の子でしょ!》(1996)など、出光の主要作が並ぶ。

編集部