「永遠にもっとも近い素材」チタン
そうした思想を支えているのが、近年チャンが集中的に取り組んでいるチタンという素材だ。
宝飾作家として国際的な評価を得てきたチャンは、長年にわたり独自の彫刻技法や宝石加工技術を開発してきた。その延長として取り組んだのがチタン研究だ。彼は約7年を費やしてチタン加工を研究し、当初はジュエリー作品に用いていた技術を、現在では高さ10メートルを超える大型彫刻へと応用している。

チャンによれば、チタンは腐食せず、極めて高い耐久性を持つ素材。鉄のように酸化せず、ステンレスのように曇ることもない。また医療用インプラントや宇宙ロケットにも利用されるほどの強度を備えている。彼はこうした特性を「永遠にもっとも近い素材」と表現する。
また、チャンはチタンを精神的なメタファーとしても捉えており、「チタンは私自身の性格に似ています」と語る。容易には壊れず、何度曲げられても元へ戻ろうとするその性質は、独学で創作を続けてきた自身の人生とも重なるという。

チャンは、「宇宙の視点から見れば、すべての生命は平等であり、東洋と西洋を区別する必要はありません」と語った。作品に多用される透かし彫りの構造もまた、仏教の「真空妙有」の思想に基づいているという。空であるからこそ、多様な文化や思想を受け入れることができる。その開かれた精神性こそが、本展の根底に流れるメッセージだと言える。
歴史的な礼拝堂と未来的な彫刻、ヴェネチアと上海、音と水、誕生と死。相反する要素を往還しながら、本展は観客を、時間や空間、さらには生と死の境界を超えた対話へと静かに誘っている。




















