「遊べる本、読めるおもちゃ」
第2章「思い出を絵本に」では、カールが絵本作家になるまでの歩みを紹介する。ドイツ移住後に経験した戦争や抑圧的な社会状況のなか、当時の美術教師が密かに見せたパブロ・ピカソやパウル・クレー、アンリ・マティスらの複製作品の色彩に衝撃を受けた経験が、エリック・カールの創作の原点となった。ドイツ表現主義の画家フランツ・マルクの作品《青い馬Ⅰ》(1911)も大きな影響を与えており、カールの作品にはしばしば「青い馬」が登場する。

また、幼少期の友人との別れを題材にした『いちばんのなかよしさん』の原画が日本初公開されている。本作からは、エリック・カールが自身の個人的な経験をもとに制作を行っていたことがよくわかる。あわせて、デザイナー時代のポスター作品や、デビュー作『1,2,3 どうぶつえんへ』、しかけが特徴的な『パパ、お月さま取って!』などの原画も並び、エリック・カールの作家活動を知るうえで重要となる作品群を一望できる。


第3章「遊べる本、読めるおもちゃ」では、カールの絵本の核である「しかけ」に焦点を当てる。ページをめくるフリップやポップアップなどの技法は、当時としては革新的な試みであった。読者が絵本とインタラクティブに関わる体験を重視したエリック・カールの設計が、各作品から見て取れる。




















