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ソウルでひらくクィア・アートの新たな地平。「スペクトロシンセシス・ソウル」展をレポート【3/3ページ】

「クィア」をめぐる認識の更新

 キュレーターのキム・ソンジョンは、「クィア・アートは特別なものではなく、同時代のアートの一部だ」と語る。観客が既存のステレオタイプを超え、新たな視点で作品と向き合うことを期待しているという。

 サンもまた、展覧会そのものが直接社会を変えるとは考えていないが、いっぽうで、「積み重ねによって波紋が広がること」を重視する。その意味で、「スペクトロシンセシス」は単発のイベントではなく、継続的な対話のプラットフォームと言えるだろう。

展示風景より

 実際、本展では会期中にトークやレクチャーが予定されており、社会学者や批評家を交えた議論が展開される。さらにシリーズは2027年2月に東京都現代美術館へと巡回予定で、アジア各地を横断するネットワークとして拡張を続けている。

 サンによれば、東京での展開について現時点で詳細は明かされていないものの、「これまでとはまったく異なる展覧会になるだろう」と語る。そのうえで重要な要素として挙げられるのが、徹底したローカライゼーションだという。

 ソウルという都市において初めて実現したこの大規模展は、クィア・アートの可視化にとどまらず、その語り方そのものを更新する試みだ。そしてそれは、他地域へと広がっていくなかで、さらにどのようなかたちへと変容していくのだろうか。引き続き注視したい。

展示風景より、デュー・キム《The Body Interface》《Inversion Chamber》(いずれも2026)

編集部