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「東京ビエンナーレ2025」開幕レポート。歩いて見つける、街とアートの新しい関係性【5/5ページ】

 エトワール海渡リビング館の1階から7階まで(2階を除く)を会場に展示を行うのは、鈴木真梧、窪田望、アダム・ロイガート、L PACK.、チュオン・クエ・チー&グエン・フォン・リン、ピョトル・ブヤク、ナラカ・ウィジェワルダネ、エルケ・ラインフーバー、カミラ・スヴェンソン、マリアム・トヴマシアン、渡辺英司らだ。元々卸問屋であったというこの会場の巨大なフロアを生かし、アーティストらが意欲的に展示を行っているのが印象的であった。

展示風景より、窪田望《Inside Dementia》
展示風景より、渡辺英司《名称の庭 / エトワール海渡インスタレーション》

 また、同会場の3階では、畠山直哉片山真理、港千尋、SIDE CORE鈴木理策豊嶋康子、そして総合プロデューサーの中村を含む7組の写真家やアーティストが東京の街を歩き、「まちの今」を写真に収めた「Tokyo Perspective」プロジェクトによる展示も行われている。日頃から多様な視点を持って制作に取り組むアーティストらが、それぞれ異なる角度から見つめる街の姿とはいったいどのようなものか。作品を通じて、自身の暮らす街の新たな一面を発見することができるだろう。

展示風景より、豊嶋康子「Backshift 2025」シリーズ
展示風景より、SIDE CORE「underpass poem」シリーズ《INVISIBLE PEOPLE》

 この芸術祭の大きな特徴は、いわゆる“派手でインパクトのあるアート作品が目立つように設置されている”というタイプではない点にある。「いっしょに散歩しませんか?」というテーマが示すように、散歩という行為を通じて日常に新たな気づきや発見をもたらすことを重視しているのだ。そうした視点を促すような作品が、まるで街の風景の一部であるかのように、さりげなく数多く配置されている点こそが、この芸術祭の醍醐味と言えるだろう。

編集部