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豊嶋康子

Yasuko Toyoshima

 豊嶋康子は1967年埼玉県生まれ、93年東京芸術大学大学院美術研究科油画専攻修士課程修了。社会の制度や仕組みに無意識に従う人間の思考の「型」を見出すことをテーマに、日用品を素材とした作品を制作。鉛筆の中心を先端と仮定し、そこから両方向に芯を削っていく「鉛筆」シリーズや、定規をオーブントースターで加熱し、目盛りを歪ませた「定規」シリーズをはじめ、ものが本来持つ機能や意味をずらし、複数の見え方が可能な作品を手がけている。

 また1996年から、複数の証券会社から株式を購入する、50以上の口座を開設し同名義で送金し合うなど、自身を特定のシステムに自身を組み込み、無自覚に固定された個人の定義を問い直すプロジェクトに取り組む。近年の個展に、「ステンレス鋼」(M画廊、栃木、2018)、「四角形」(Maki Fine Arts、東京、2017)。展覧会に、「話しているのは誰? 現代美術に潜む文学」(国立新美術館、東京、2019)、「メルド彫刻の先の先」(Maki Fine Arts、東京、2018)などがある。