山川冬樹は大島港周辺に3点の作品を展示。そのうちの1点で、青松園の入所者であった歌人・政石蒙さんの人生をテーマとした新作のインスタレーションをここでは紹介したい。

政石さんには、学生時代に将来を誓いあった美紗子さんという女性がいたが、ふたりは戦争や政石さんのハンセン病の罹患から人生をともにすることが許されなかった。山川は、「想像のなかだけでも、ふたりの結婚を祝福したい」とし、音と映像、照明を用いて、ふたりの結婚式をとり行っている。国による政策がいかに人々の人生を左右してきたかということについても、改めて考えさせられる作品であった。


梅田哲也は、大島に流れる水を用いて《音(おと)と遠(とお)》という作品を提示した。地中に掘られた共鳴窟のなかで反響する水の音はやさしく澄んでいる。この作品は、この大島に住む人々、そしてハンセン病によって目が見えなくなった人にも向けられている。






















