そしてもうひとつ、1973年から1975年にかけて毎年春に「ルナ・フェスティバル」と題する芸術祭が開催された。1970年4月に開館した「芦屋市民センター(ルナ・ホール)」を会場に、同館の設計を担当した建築家の山崎泰孝──芦屋市民美術博物館の設計者でもある──が、美術や音楽、演劇などの総合的な現代芸術の創出と、芸術家と観客のコミュニケーションの充実を提唱したことが契機となった総合芸術祭だ。
注目すべきは、「第3回ルナ・フェスティバル〈いま、芸術は…〉」のラインナップだ。プレ・イベントでは、元永定正が乗用車に色とりどりのペンキを流す公開制作や、タージ・マハル旅行団の演奏を実施。20日間にわたる芸術祭は、維新派の玉木町煙など舞踊家による「ボディ・ワーク」、河口龍夫や小清水漸らが作品展示を行う「オブジェ・ワーク」、湯浅譲二や塩見允枝子ら作曲家による「サウンド・ワーク」、今井祝雄や植松奎二らの映像やインスタレーションを展示する「ライト・ワーク」など多彩なプログラムで構成され、錚々たる作家たちが名を連ねていることがわかる。
当時のパフォーマンスなどを録音した音源が残されており、今回の展示のためにリマスターし、複数台のスピーカーを床に設置し、会場の空気を再現するサウンド・インスタレーションが行われている講堂にも足を運んでほしい。






















