伊賀市は京都・奈良・伊勢を結ぶ交通の要衝であり、また忍者や俳聖・松尾芭蕉のゆかりの地としても知られる、豊かな自然と独自の文化が息づく街。そんな街並みに寄り添うように、あえて水平ラインを強調した低層のつくりによって、市民を見下ろすのではなく、等しい目線で迎え入れることを意図してつくられた。また、光と風を取り込み、可能な限り自然光で満たされるように計算された大きな開口部や、必要最小限の構造体をあえてあらわにした造形美も、坂倉建築ならではの特徴だ。
長年市民に愛されてきた本施設だが、2019年に行政機能が現在の新市庁舎に移されて以降、老朽化には抗えず、解体の危機に直面する。





















