2021.7.20

坂倉準三によるモダニズム建築。小田急百貨店新宿店本館が解体へ

ル・コルビュジエに師事し、モダニズム建築を多数手がけた坂倉準三。その坂倉建築である小田急百貨店新宿店本館が解体され、再開発されることとなった。

小田急百貨店新宿店本館
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 ル・コルビュジエに師事し、数々のモダニズム建築を残した坂倉準三(1901〜1969)。その代表作のひとつであり、多くの人々に親しまれてきた小田急百貨店新宿店本館が、再開発に伴い解体される。

 小田急百貨店新宿店本館は新宿駅西口に位置するデパートで1967年に全面開業。坂倉は新宿駅西口地下広場全体の設計にも携わっており、小田急百貨店はこの設計と併行して坂倉が力を注いだ建物で、駅舎と鉄道の軌道上を立体的に活用した複合商業ビルだ。

 西口からは一見ひと続きに見える小田急百貨店新宿店本館だが、じつは北側(左半分)の地下鉄ビルは坂倉建築ではない。近代建築史が専門の松隈洋(京都工芸繊維大学教授)によると、坂倉は地下鉄ビルと自身の設計である南側の小田急百貨店とが連続するように、西口広場に面する長さ約300メートルのファサードを統一するように要望。アルミパネルのカーテンウォールによる特徴的な外観が生まれたという。

小田急百貨店新宿店本館

 小田急百貨店新宿店本館の営業は2022年9月末で終了となり、今後は新宿駅西口地区開発計画に伴い解体。新宿店本館跡地には、新宿グランドターミナルの一体的な再編を象徴する大規模開発として、高層部にオフィス機能、中低層部に商業機能を備える地上48階、高さ約260メートルの超高層ビルが計画されている(2029年度竣工予定)。

計画建物イメージパース 出典=小田急百貨店プレスリリースより

 この再開発について、松隈は「今回の超高層ビルによる垂直的な巨大再開発によって、西口広場も含めた、水平的な広がりのスケール感とバランスは大きく崩れ、坂倉がル・コルビュジエから引き継ごうとした『輝く都市』の精神は、跡形もなく失われてしまうだろう」と話す。

 近年、こうした近代建築は相次いで解体に瀕しており、原宿駅や旧原美術館、東京海上日動ビルなど名建築が失われる状況となっている。