金のりんご賞を受賞した、ラトビアのアネテ・バヤーレ=バブチュカによる《ふたりのアルマ》。絵本は、家のとなりにある基地で埋葬があったことをきっかけに、6歳の少女が死を考え始める、イネセ・ザンデレによる物語だ。バブチュカは、少女が生死の営みを受け止め自分に重ねていく様子を、軽やかなタッチでわかりやすくビジュアル化。水性ペンと色船筆をさっと引いたような明るい色調が美しい。

フィンランドのサンナ・ペッリチオーニ《海のむこうへ送られた子》は金牌作品。第二次世界大戦時、8万人にのぼったとされるフィンランドからスウェーデンなどへの疎開児童。少女の体験したつらい日々を、ペッリチオーニは抑制された色彩と、筆致を残した独特のディティールで表現している。
