「BIB 2023」でグランプリに輝いたのは、1978年チリ生まれの絵本作家でイラストレーターの、パロマ・バルディビアによる《問いかけの本》だ。本作はチリの国民的詩人、パブロ・ネルーダ(1904〜1973)の詩集『問いかけの本』の70の質問から生まれたもの。バルディビアは6年をかけてネルーダの全詩を読み込み、赤、黄、ターコイズブルー、黒、白などを巧みに使いながら、愛らしい生物から大胆な構図の幻想的な場面までを描ききった。

金牌を受賞した、中国のチン・シンルー(陳巽如)による《牛王祭》は、旧暦四月八日、中国南西部に暮らすプイ族が行う「牛王祭」を描いた作品だ。牛をねぎらい、人々は牛を敬う歌を歌い、感謝と祝福の意を示すこの祝祭。藍染と刺繍を多用した、細かな模様と鮮やかな色使いによるプイ族の華やかな衣装を、大胆なディテールと鮮やかな色彩により表現した。

同じく金牌のクロアチアのヴェンディ・ヴェルニッチによる《ふしぎな家》は、風変わりな住人が集う不思議な家の舞台にした作品だ。互いを尊重し、調和のとれたコミュニティを、豊かな色彩で細部まで描きこみ、隣人たちの魅力的な特徴を巧みに映し出している。
