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「ゾフィー・トイバー=アルプとジャン・アルプ」(アーティゾン美術館)開幕レポート。誰かと何かをつくることの深遠さ【5/6ページ】

 第3章「前衛の波の間で」は、ストラスブールでの室内空間デザインの仕事を応用し、絵画、そして彫刻作品へと表現をより深化させていったふたりの活動や協働の成果を展示している。

展示風景より、左がゾフィー・トイバー=アルプ《レリーフ・セル(長方形、幾何学的要素)》(1936) アールガウ州立美術館

 本章ではとくにアルプの彫刻表現に注目したい。柔軟な石膏によるやわらかでどこか有機的な印象をうけるアルプの彫刻は、ときに伝統的な民話や生命の起源などをモチーフとしたものだ。無機質なようでいて、近くで作品と対峙するとそこに宿る生命感に驚くことになる。

展示風景より

 また、ふたりの絵画にみられる曲線も、いくつもの素描を重ねることによって生まれた独特のリズムをもっている。やわらかでどこか懐かしい気持ちにもさせてくれる配色もまた、その仕事の質の高さをうかがわせる。

展示風景より、左がゾフィー・トイバー=アルプ《色彩を帯びた線の動き》(1940) アルプ財団

 こうして、円熟期を迎えようとしていたふたりが刺激し合いながら高め合う制作は、突然のトイバーの死によって終わりを迎えることになる。

編集部

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