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「ゾフィー・トイバー=アルプとジャン・アルプ」(アーティゾン美術館)開幕レポート。誰かと何かをつくることの深遠さ【3/6ページ】

 1915年、アルプがチューリヒで参加した展覧会をトイバーが訪れ、ふたりの交流が始まった。1916年、チューリヒでフーゴ・バルとトリスタン・ツァラを中心に、ダダイスムの活動が始まる。トイバーもアルプもこのダダイスムに参加しつつ、いっぽうでそれぞれの造形的な関心を深めていった。

 第1章ではこの時期のトイバーの作品を中心に紹介。平面作品からは構造への興味とともに、トイバーのクラフトへの造詣が生み出したであろう、やわらかで温かみのある色彩にも注目したい。

展示風景より、左がゾフィー・トイバー=アルプ《抽象的なモティーフ(騎士)垂直-水平の構成》(1917) アルプ財団

 また、ダダイスムとの関連では、アルプの《トルソ=へそ》(1915)や、トイバーの『鹿王』の人形に注目したい。前者は人間のシルエットを単純化し、人間存在そのものへの思考を喚起するレリーフだ。後者はイタリアの劇作家カルロ・ゴッジによる『鹿王』(1762)の人形劇のためにトイバーがデザインした人形で、各登場人物が幾何学的抽象にもとづいた造形で表現されている。いずれも、第一次世界大戦を境に大きく揺らぐことになった、近代的な人間性に疑義をもつダダ的な視点が宿る。

展示風景より、ジャン・アルプ《トルソ=へそ》(1915) アルプ財団
展示風景より、ゾフィー・トイバー=アルプ『鹿王』の人形 アルプ財団

編集部

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