「来たる世界2025-2075 テクネーの崇高性」(GYRE GALLERY)開幕レポート。テクノロジー時代の崇高を問う【4/5ページ】

井田大介

 井田大介は1987年鳥取県生まれ、東京都在住。2015年東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。彫刻という表現形式を問いながら、彫刻・映像・3DCGなど多様なメディアを用いて、目には見えない現代の社会の構造や、そこで生きる人々の意識や欲望を視覚化している。

 会場で一際存在感を放つ《シノプテス》(2023)は、ギリシャ神話の100の目を持つ巨人「アルゴス・パノプテス」と、ノルウェーの社会学者トマス・マシーセンが提唱した社会構造「シノプティコン」(多数者が少数者を監視すること)を組み合わせた造語からタイトルが付けられた。2つの身体に組み込まれた無数の眼球は会場の人間を感知して動き続ける。また手に持つ2つのスマートフォンもあいまって、テクノロジーが発達した相互監視社会を象徴するものとして表現されている。

展示風景より、井田大介《シノプテス》(2023)
展示風景より、井田大介《Statue of a Victorious Youth》(2023)

編集部

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