《ファット・ハウス》や《ファット・カー》などの作品で知られるオーストリアのアーティスト エルヴィン・ヴルム。その日本初個展が、十和田市現代美術館で開催される。会期は4月12日〜 11月16日。
ヴルムは1954年ブルック・アン・デア・ムーア生まれ。ウィーン応用美術大学とウィーン美術アカデミーで学び、現在はウィーンとリンバーグを拠点に活動している。これまでの主な個展に、「Deep」(国立マルチャーナ図書館・コッレール博物館、2002)、「Trap of the Truth」(ヨークシャー彫刻公園、2023)、「Erwin Wurm Photographs」(ヨーロッパ写真美術館、2020)などがある。また「第57回ヴェネチア・ビエンナーレ」(2017)ではオーストリア館でその作品が展示された。

Photo by Markus Gradwoh
©Erwin Wurm, Bildrecht Wien, 2024
彫刻の概念を徹底的に拡張し、時間、質量と表面、抽象と表現の概念について問いかけるヴルムは、身の回りの日用品を用いて、社会に存在する規範・制度・権力の構造を面白おかしく炙り出し、鑑賞者に様々な問いを提示する。
本展では、最新作の《学校》を初公開。歪められた学校の教室の内部には、過去に使用されていた「時代遅れ」の教材が掲示され、学校という制度が持つ権力や「正しさ」が曖昧であることが示されるという。また、聖職者が奇妙なポーズで写る「司祭と修道女」の写真シリーズや、近年制作された「皮膚」や「平らな彫刻」など、様々な技法からなる作家の作品が紹介される。

Photo by Rainer Iglar / Salzburg ‒ Vienna
Courtesy: Albertina Modern, Vienna

Photo by Rainer Iglar / Salzburg ‒ Vienna
Courtesy: Albertina Modern, Vienna
なお、十和田市現代美術館が日本で唯一常設している作家の代表作《ファット・ハウス》《ファット・カー》ももちろん楽しみたい。

撮影=小山田邦哉

Photo by Markus Gradwoh

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