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「安田侃彫刻美術館 アルテピアッツァ美唄」の魅力とは。炭鉱と木造校舎の記憶をいまにつなぐ「芸術広場」

北海道・美唄市の「安田侃彫刻美術館 アルテピアッツァ美唄」は、同市出身の彫刻家・安田侃の彫刻を屋内外で展示する「芸術広場」だ。市民のみならず、いまや国外からも多くの観光客が訪れる同施設の魅力とは。

文・撮影=安原真広(ウェブ版「美術手帖」副編集長)

ギャラリー(木造校舎)の展示風景より

 北海道・美唄市にある、彫刻家・安田侃(やすだ・かん)の彫刻を展示する「芸術広場」として整備された「安田侃彫刻美術館 アルテピアッツァ美唄(以下、アルテピアッツァ美唄)」。安田侃の彫刻を屋内外で展示する「芸術広場」である本施設の概要を紹介したい。

屋外展示風景

 札幌と旭川の中間に位置する美唄市はかつて炭鉱で栄えた町だ。戦前より三菱と三井の財閥を中心とした資本が投入され、全盛期の50年代には9万人を超える人々が暮らしながら日本の高度経済成長を支えた。しかし、70年代にエネルギーの主流が石炭から石油へと移行すると閉山が相次ぎ鉱業は徐々に衰退。2025年現在の人口は2万人ほどとなっている。

屋外展示風景

 アルテピアッツァ美唄は、炭鉱町のなかでも旧三菱地区に位置する。併設する幼稚園を残して1981年に閉校した美唄市立栄小学校跡とその周辺を整備し、美唄市と美唄市出身の彫刻家・安田侃によって1992年にオープンした。現在は、約7万平米の土地のなかに約40点の安田の彫刻が点在している。

ギャラリー(木造校舎)の展示風景

 ここで、安田侃の経歴を確認しておきたい。安田は1945年美唄市生まれ。鉄道員の息子として生まれ、幼少時は野球少年だったという。美唄の最盛期に少年時代を過ごした安田は、体育教師を志して教育大学で学ぶなかで、彫刻に出会った。以降、東京藝術大学大学院彫刻科を経て、1970年にイタリアのローマ・アカデミア美術学校で学び、大理石の産地であるトスカーナ州のピエトラサンタにアトリエを構え、現在も制作を続けている。日伊双方で展覧会やパブリックアートを制作しており、札幌駅のランドマークとして《妙夢》が親しまれているほか、東京では東京ミッドタウンや東京国際フォーラムでその作品を見ることができる。

アートスペース(旧体育館)の展示風景

 まずは、アルテピアッツァ美唄の入口付近にある、小学校の体育館だった建物を利用した「アートスペース」から、施設の内容を紹介していきたい。

編集部

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