「来たる世界2075 テクノロジーと崇高」(GYRE GALLERY)開幕レポート。テクノロジー時代の崇高を問う【5/5ページ】

牧田愛

 機械的なモチーフを絵画によって表現する牧田愛。自ら撮影した金属やプラスチックなどの人工物を構成して、デジタル画像をキャンバス上の絵画として現実空間へ引き出すことを追求してきた。また近年は生成AIを作品制作に取り入れる手法に取り組んでいる。

 牧田が都市で発見した看板や廃棄物などの「人間味のある無機的なもの」の画像をAIに読み込ませ、抽象化してつくりあげられた映像作品が展示。また、AIがつくりだした絵を牧田がさらに再解釈した絵画も並ぶ。人間が滅びた後にも残り続ける無機物にいかなる崇高が潜むのか。そんなことへの想像力を働かせるきっかけとなる作品だ。

展示風景より、手前が牧田愛《e45a9f60-3904-4c03-98f5-89523c》。奥が《Dynamic Equilibrium #a》《Dynamic Equilibrium #b》(すべて2025)

 なお、会場では哲学者ユク・ホイとニース近現代美術館館長エレーヌ・ゲナンによる特別寄稿も読むことができるので、作品とあわせて確認してほしい。